氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

ヤンボー麻婆ーテイクアウト!

本来ならばご飯を入れなければならない所なのに大胆にも四川麻婆豆腐を間違えて入れてしまったことはありませんか?

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僕はあります。

 

ったく、取り返しがつかねぇことをしてしまったぜ。うふふ。

 

「ちょっとちょっと!それ確信犯でしょっ!」

ギクッ!

廃棄弁当として持ち帰るつもりなんでは?」

ギクギクッ!

「ワザとやったにしか見えませんでしたもん」

ギクギクギクッ!

 

「そ、そ、そんな、そんな風に君たちはオレのことを見ていたのか?」

「はい」

「はい」

「はい」

二文字で簡潔に答えるんじゃねぇよ。

 

「言っておくけどな、俺は極端な老眼なんだよ。それに加えて最近は白内障にも蝕まれている。あと何回、この麻婆豆腐が食べられるかわからない運命だというのに、こんな少しの間違いをお前らはそこまで責め立てるのか!」

 

「間違いなら何も言いませんけどね」

「間違いに見えないから言うんじゃないですか」

「普段、水道水を出しっ放しにしている時に『これも金だぞ。お前ら、いくら十円玉だからといって川に放り投げることが出来るか?』って言うじゃないですか」

確かに賽銭箱に投じることは出来ても川に投げることは出来ない。

 

「はいはい、さーせん。ワザとやりましたーだ。ったく、細かいことをブーブー言いやがって。お前らは小姑か?」

 

で結局、持って帰って晩酌の友とさせてもらった。贖罪はせめて綺麗さっぱりと平らげることだろう。

 

しかし、手前味噌だがこの麻婆豆腐は何度食べても美味い。一瞬で昇華される唐辛子の辛味と強烈な痺れ感をもたらす四川花椒が絶妙なハーモニーを奏でる。その余韻を一気にビールで流し込むと、またぞろ郷愁の念に駆られまたしても麻婆豆腐を口に運ぶという中華の無限ループに落ち入る。そうなることが分かっていても尚、止めることが出来ない。

 

ふぅ〜、そんなわけでまた飲み過ぎちまったぜ。毎回そうだが、飲み過ぎの言い訳を長々と文章化するのはとても難しく感じられる。

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