氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

発熱インナーに絡む恐怖のずんどこ

帰宅し部屋着に着替えると、いつも翌日に着ていく服をすかさず用意しておくのが癖になっている。

 

用意周到といえば聞こえがよいが、酔っ払って自然就寝してしまう前の自己防衛本能とでもいおうか。いや、まんま用意周到でいいんぢゃね?

 

ところがだ、今朝、着ていくつもりでいたインナーウェア(発熱インナー)が昨日の雨で雨晒しとなったらしい。雨予報がしっかり出ていたのに何故、外に干すかなぁ。というわけで二回目の洗濯が余儀なくされてしまった。

 

断捨離のつもりでもないが今まで使用していた発熱インナーを全て捨て、新しく2枚購入した。取り敢えず2枚あれば今冬は持ちこたえられるだろうと軽く考えたわけだ。別に発熱インナーに拘るわけでもなかったのだが、冬場に於いては出来るだけそれを着て通勤したい。だって、早朝の職場はあまりにも寒いんだもん。

 

目が覚めた時に乾いていればよし、万が一、乾いていなければ諦めて長袖Tシャツにせざるを得ない。ところがだ、そのインナーがどこに干してあったかを確認しておくのを怠った。全てはアルコールのせいだとも言えるのだが、以前に述べた様に我が家は隣家を購入し、リフォームをし両家をくっ付けてある。

fish-on-ice.hatenablog.jp

故に洗濯機が置いてある母屋と離れにある自分の部屋までの配線が極めて長いのだ。そこまで行くのに自動車で行きたいと思えるほどに長く面倒くさい。

 

致し方なし、真っ暗な中、住人を起こさない様に母屋まで行くと「抜き足、差し足、忍び足」で我がインナーを探す暗闇の旅が始まる。電気を灯すと母屋の住人を起こしてしまうかもといった底なしに優しい配慮が出来るのも人一倍人格者である自分ならではだ。ところが旅とは名ばかりに、案外すんなりと見つけてしまった。場所は浴室だ。風通しがよくしてあったお陰か多少の冷たさは感じるが水分の冷たさではなさそうだ。

 

再び自室に戻り着替えると足早に玄関へと向かう。今日は市場休場日に当たるため普段よりも若干遅めの出社ではあるが、それでも家の内も外も真っ暗だ。

 

あれ?玄関の外灯が灯ってる。何故だろう?

 

無意識の内にスイッチを入れたのだろうか?まぁいい。気にしていても仕方がない。ショルダーバッグを背負い靴を履こうと靴べらに手を伸ばすべく振り返ると、

電灯の光が届かない暗闇に長い黒髪の女が

ものも言わずにしゃがみこんでいた!!

 

「ぅぎぅぇぁーっ!!!!」

 

よくよく見ると嫁だった。

 

「バカ野郎!黙ったままそんなところに座ってんじゃねぇよ!」

「だって寒いもん」

「『だって寒いもん』じゃねぇよっ!どうせもの言わんのなら布団にくるまって寝とけ!」

 

インナーを探しに来たことに気がつき、気をきかせて玄関の外灯を灯しておいてくれたそうな。ったく、余計なことをしやがって。

 

玄関の戸を閉め車に乗り込むまで、背中越しに聞こえる嫁の笑い声が途切れることはなかった。

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ひとり職場にて

 

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