氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

人類みな友達(人類以外も)

自室にて、あんな物やこんな物をネットで閲覧してあんな事やこんな事を妄想していたら、

「ランラランララ~ン♫ お・と・お・さ・ん♡」

と次女がやって来た。正直、嫌な予感しかしない。

 

耳が聞こえないふりをして無視していたら、

「聞こえとんか、おんどりゃー!」

と耳を引っ張られた。

 

「痛たたたたっ!」

正直、あまり痛くはなかったが、いちおう芸能人たるもの、最低でも出川哲朗ばりのオーバーリアクションを演じねばならない。

 

「何すんのもう~」

「あのね、『あつまれ動物の森』が欲しいの」

「ふぅ~ん。あ、そう」

 

再びPCに向き直りサーフィンを続けようとしたら、

「だから聞いとんのか、おん?」

とまたしても耳を引っ張られた。

 

「痛たたたっ!だから痛いって」

「でね、6,000円くらいするんやて」

「あ、そう。お小遣いで買や」

「お小遣いくれたことねーやんけ!」

「そう言えばそうだな、はっはっは!」

 

「そう言えばそうだな、はっはっは!じゃねぇだろやい!じゃ、中学生になったらくれる?」

「でも、お兄ちゃんには中学生になってもあげてないぞ」

事実、一度もあげたことがなかった。どうやって3年間、凌いで来たのか不思議でならない。

 

「お兄ちゃんと比べんといてよ。私はちゃんと洗濯物を取り込んだり畳んだりしとるもん」

「まぁ、そうだな。わかった。じゃ、月に500円あげるゎ」

「わーい、500円!…って、おいっ!使わずに貯めても買えるの1年先じゃねぇか!その頃には中古が出とるわっ!」

「おっ、さすがソロバンをやっているだけあって計算が早いな。じゃ、ちょうどいいじゃん。中古を買えば?」

「違うの!今欲しいの!友達と一緒に遊びたいの!友達みんな持っとるんやで」

 

出た、「友達みんな」。

 

「ふぅ~ん、何人?1000人?2000人?」

「うぅ~んとね、500億万人」

お前、ソロバン塾サボってるだろ?

 

「よし、わかった。俺はな、常日頃からお前にはボキャブラリーが足りないと思ってたんだ。それはな、お兄ちゃんも一緒だけど本を読まないからだと思う。300ページ以上の本を10冊読んだら買ってやる」

「えー、ホント?わかった、読む!」

言うが早いかアラレちゃんばりに「キーン」と両手を広げて飛んで行った。

 

そして、翌日の夕方。

「お父さん、先ずは1冊読んだよ!」

手には『ハリーポッター賢者の石』を持っている。

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「マジで?2日でそれ読んだの?」

「うん」

「すげえな」

ページ数はなんと455ページある。物で釣るのは下策と思いつつもここまで功を奏するとは。これをきっかけに読書が習慣化してくれればと願う。そして様々なメリットを感じてもらいたい。

 

「ところで何故うちに『ハリーポッター賢者の石』があるんだっけ?」

元の持ち主である坊主に訊いてみた。正直、記憶にない。

 

「あ”?オレが無断でソロバン塾をサボったのがバレた時に親父が買ってきて『これ読んで感想文を書け』って言われたんやん」

「えっ?そんなことあったっけ?」

 

いや、本を読ませるのにも色々な方法があるもんだねぇ。

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