氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

卒業式貧乏・愛は悲哀に勝るか?

「お父さん、卒業式どういう格好して行ったらいいかな?」

 

「いや、それは俺に訊かれてもわからんな。勝手に決めてくれってのならば勝手に決めさせてもらってもいいけど」

 

遡ること、保育園時代の姉妹の卒服から姉の小学校の卒服に、坊主の小学校の卒服までも全て自分が手配した。ただの一度、その時にだけしか着ない服への出費は勿体無いとは思いつつ、やってあげられることは親として存在する以上、させてもらいたい。

 

残念ながら我が母には幼稚園を除き卒業式を一度も見せてあげられなかったが、もし生きていたなら今の自分と同じ気持ちでいてくれたことだろう。

 

「友達に訊いてみたら?どんな格好で参加するか」

「うん、わかった」

 

その、翌日。

「うんとね、親友のココアちゃんに訊いたら袴にするって言っとったよ」

「へぇ~、犬のクセに袴なんて履くんだ?生意気な犬だな」

「だから犬じゃねぇって。人間やっちゅうの」

 

あづ紀にココアの和洋折衷コンビは未だ仲良く続いている様だ。

 

「じゃ、袴にするか?」

「えっ?いいの?」

「いいんじゃない。流行っているみたいだし」

 

昨年のSNS上でも女子の袴姿が多数、ラインナップされていたから恐らく流行っているのだろう。それに、AKBやSKEみたいなフリフリの服は土台が地味な次女には絶対的確信をもって似合わないと言ってしまえる。言わなければいけないことをちゃんと伝えることも親の義務だ。

 

そこで、貸衣装屋に勤めている古くからの熟女の友人にLINEで連絡をしてみた。あ、いや、古くから熟女であったわけではなく、今現在が熟女って意味ね。恐らく2年近くは顔を見ていない。すると即座に「1年前にもう辞めた」と返事があった。

 

ただ、連絡だけはしておいてあげるから勝手に行ってこい、と優しく気遣ってくれたので、さっそく試着に行って来た。市内の公立小学校は同日に卒業式が執り行われるため、早い段階で衣装を予約しておかないと、3月に入ってからでは無くなってしまう可能性があるということだった。

 

「ご説明申し上げますね。こちらの金額がお着物単体の価格で、こちらが袴をセットにした価格になります。先ずはお気に入りの着物をお探し下さい」

「わかりました。ありがとう」

ひょいと値札を見る。こういったことは初めてだ。レンタル価格の相場がまったくわからない。

 

えっ、2、2万円?

セットで2万3千円?

高っ!!マジ高っ!!

レンタルってそんなに高いの?!

 

だが、もはや引き返すことなどは出来ない。見れば2万円以下のものもあれば2万円以上のものもある様だ。

 

ん?これは?

「少々難有り。肩に多少の日焼けあとが見られます。16,000円」

これでいいじゃん!いや、これで納得してもらおう。

 

「これなんていいんじゃない?凄く似合うと思うぞ。いや、まさしくお前の為に作られた着物と言っても過言はないだろう。いやぁ~、実に素敵じゃないか。これに、ほら、この白の袴を合わせたらバッチリじゃん。俺のセンスの良さを知っているだろ?」

 

「あら、本当にお似合いですね」

スタッフのお姉さんもグッジョブ!

 

いいですねぇ~、その儲けよりも顧客満足度を重視する姿勢。以前、店長をやっていた先の熟女の教育の賜物か?

 

次女もまんざらでは無い様だ。即決で衣装が決まった。

 

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ちょっと講談師っぽくもあるが…



 

「着付けはどうされますか?髪のセットもなんでしたらご予約頂けますが」

「えっ?着付けがいるんですか?」

そりゃ、知らんかった。着物を着て袴を履いて紐をキュッと縛ればそれで済むもんだと勝手に勘違いをしていた。着付けと髪のセットでも合わせて1万円以上するらしい。

 

「あ~っと、ちょっと知り合いに当たってみます。返事は後日でいいですか?」

「はい、かまいませんよ」

 

正直、完全に舐めとりました。たった一日のことにこれだけの金額が飛んでいくなどとは微塵も考えていなかった。下調べは入念にしておくべきだったと大きく反省。

 

ただ、友人の紹介とあって10%オフにしてくれたことは素直にありがたく感じられた。

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