氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

なんで気づいてくれないんだ!好きの反対は無関心

本当にありがたいことにまたしても母校から弁当の注文を頂いた。その数たるや驚くことに66個も。先生ってそんなに数多くいたんだな、と改めて知ることとなる。高校時代は気にしたこともなかったのだが。弁当の数量、種類等検品も大変だ。なんとか間違いなく納品することが出来、今回も骨を折ってくれた中高の同級生でもある女教師に礼を述べた。


すると彼女から意外な事実を知らされた。校長が昔からの自分を知るという。買い出しに出向いた酒屋で何度か顔をあわせことがあるらしい。ついでだからと直接、お礼を述べたいとお願いすると廊下まで呼び出してくれた。


「どうも、お久しぶりです」

「や、これはどうもどうも。ご無沙汰しています」

「お店にもよく顔を出させて頂きました」

「はい、存じております。その節は大変お世話になりました」

2~3分、談笑を交わしながら改めてお礼を言いその場を後にした。


後ほど同級生の女教師には

「ごめん。全く覚えてねぇや」

とLINEしておいた。だって聞けば20年前の話だっていうんだもん。お互いに30代だった頃だという。彼の記憶力が秀逸なのか、自分の記憶力がショートしているかはわからないが、どの様な状況でも話を合わせてしまう自分はある意味凄いと思う。


配達の帰りに「カット1000円」と書かれた看板を見つける。

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約4週間、床屋へ行っていない。無性に髪を切る衝動に駆られる。ただまだ、この瞬間までは髪を切るか切らないかは決めていない。車を駐車場にとめ車のドアを開ける。と床屋の入口のドアが勝手に開き、厳密にいえば店主がドアを開け、待ってましたとばかりに「いらっしゃいませ」と迎えられた。客はひとりもいない。これはもう、髪を切ってもらうしかなくなった。


一応、仕事中である。というか真っ只中だ。ただこういった床屋は概ね10分もあれば完了してしまう。まぁ、10分くらいならばいいだろう。ついでだから顔剃りもお願いした。せいぜい5分程度プラスされるだけだ。で、さっぱりしてから帰社した。


誰か気づくだろうか?そりゃ、わかるだろうな。今回は約2cmほど短くしている。ドキドキドキドキと胸の鼓動はどこまでも高くなる。


「あれ?誰も髪を切ってきたことを指摘しない」


なんで?マスクをしているからわかりにくい?明らかに朝会った時と髪型が違うだろ?スタッフをひとり捕まえて、

「配達から帰ってきたらいきなり髪型が違っていたら不思議に思うよな?」

「まぁ、そうでしょうね」

「で、目の前にそういう人がいるのになぜお前はわからない?」

「へっ?切ったんですか?そんなのわかるわけないじゃないですか。誰も配達に行ったついでに床屋へ行くだなんて想像しませんて」

「見りゃわかるだろ!」

「気がつかれなかったら不愉快になるって、女子か?嫁か?(笑)」


その後もひとりひとりに訊いて回ったのだが、誰ひとりとして気がつかなかった。紅一点のスタッフまでもが気がつかなかった。お前らな、客商売の原点は如何にしてお客を喜ばすか、ちゅーことだぞ。ハゲた人に「ハゲですね」と正直に言う必要はないまでも、「髪型変わりましたね」くらい言えるゆとりとサービス精神くらい持ち合わせなさい。ま、サボって床屋へ行っていた自分がいうのもどうかと思いますが。