「おやつ爺い」を偲んで
おやつをこよなく愛し、おやつと共に生き、おやつと共に死ぬと豪語する、Facebookにおやつネタをアップする事だけが生きがいであり楽しみでもある通称「おやつ爺い」が『御座候(ござそうろう)』を手にふらりと店頭に現れた。
コマンド
たたかう じゅもん
にげる どうぐ
たたかう
「おやつ爺い」をやっつけた。
ははは、一応、友人なのでもっと優しくしてあげるべきだった。惜しくはないが友人が1人減った。それにしても何故自分の周りには友人がいない奴が多いのだろう。彼もその1人だ。
おっといけねぇ。ただ『御座候』を持ってきただけかと思ったら弁当を買うついでの差し入れだと。「おやつ爺い」のクセに中々気が利くじゃねぇか。もっと優しくしておくべきだった。せめて手厚く葬ってあげよう。
前回、別の友人から貰った時は上位職の連中だけで平らげてしまったので、今回は前回、恵まれなかった平職に「お前ら欲しけりゃ三回まわってワンと言えばくれてやるぞ」と好意を振り撒くと店の中が一瞬にしてペットショップの様相に転じた。
「おらおら、がっつくな」
と気前よく配っていたら、勢いあまって自分の分が無くなっちまっただよ。一生の不覚!ごめんね、遺品管理があまくて。
そんな中でも、なぜか前回も手に入れたビールの飲み過ぎで5kgもビルドアップした女性スタッフだけはちゃっかりと手にしていた。
その場では食べずに持って帰り更なるビルドアップを図るのだと。それをせめて半分、オレに寄越すとかいう配慮はないのか?
その翌日、要するに昨日のこと、このことを憂いた彼女の実の姉が彼女の非礼を詫びるとともに手土産として『豆大福』を持って現れた。
実に気が利く姉ではないか。仕方ない。これを以て許してやる事にしよう。