死の淵から蘇った彼女(※けしてひとりでは読まないで下さい)
ま、まさか、こ、こんなことが…
し、死んだ筈じゃなかったのか!いや、確かにこの目で息を引き取るのを見たんだ。本当だ!信じてくれ!
あれは秋とは名ばかりの暑い日だった。9月12日.それが彼女の命日となった。長く険しい山道も、炎天下のアスファルトの上でも、あれほど熱くお互いを励ましあい、これからもずーっと一緒に乗り越えていこうと話していたばかりなのに…。これほどあっさりと別れが来るとは思いもよらなかった。
生涯ともに過ごそうと誓い合った仲なのに、先にひとりで逝ってしまうだなんてあまりにも冷たいじゃないか。
10月11日。奇しくも長男の誕生日だった。出会いは必然性ともいうが、まさしくそんな出来事が起こった。ひとりでは大変だろうからと、友人の鍼灸師が紹介してくれたのが彼女だった。
亡くなった彼女は1kmごとに心拍数とラップタイムを耳元でささやいてくれた。それに比べれば見た目は地味で口数は少ないが、品格が感じられ出自の良さがその出で立ちから読み取れた。彼女に魅了される自分を情けないかな認めざるを得なかった。
それからというものの、一緒にいるときは例えるならばバラ色のときだった。子宝温泉にも行ったし、長良川の河畔や古い町並みもともに楽しんだよね。これからもずーっと一緒だと信じていたんだ。
彼女が息を吹き返す時まで…。
見たとおり、彼女には縦に深い傷が走っている。その傷の原因は自分だ。
「君の為なら死ねる」と名言をのこした岩清水弘をも退けた、大賀誠に寄せる早乙女愛の究極の責任という愛情を自分もまた全うせねばならぬのではないのか?(何を言っているのかわかんない、って人は「愛と誠」をググれ)
ちっ、つーか、今さら蘇るんじゃねぇよ。余計な買い物させられちゃったじゃねぇかよ。これがサスペンスドラマならたいてい蘇った方がまた主人公に殺されたりするよね。若しくは新しい方の彼女が古い方の彼女に殺されたりとか。当然、自分にはそんな気持ちは毛頭ないので二股掛けることにしま~す。両腕につけて走ったろかしゃん。
はぁ~、モテるって辛い。