氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

I'll give you 「ぬか喜び」

我が家で郵便ポストを覗くのは自分だけだ。毎回必ず2~3通の郵便物や何かしらチラシの類いが入っているのだが、その殆どは宛名が嫁になっている。自分宛ての郵便物くらい自分で始末しろよ。それがどこから送られてくるものなのか、どうせ直ぐにでもゴミ箱行きとなるものだろうから追求するのも面倒くさい。

 

そんな中、自分宛ての不在者通知があった。郵便局からだ。

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「送り先が一緒の不在者通知が二通ってなんだよ」

 

聞いてくれる相手もいないので、必然的に独り言となってしまったのだが思わず口を突いて出てしまった。それは郵便局からの不在者通知は嫌いだということにも起因する。融通が利かないからだ。

 

当日の再配達は5時PMまでに連絡を寄こせという。普通に仕事をしているサラリーマンが、その時刻までに自宅に戻り不在者通知を確認し、再配達をお願いするという光景を想像出来るだろうか?否、有り得ない。毎度のことながら、休みの日を利用して郵便局まで取りに行かされるのがいつものパターンだ。

 

そんな折り、自分も知らぬうちにもう一つの配達物があったようだ。

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例のアレ



「お母さん、何が当たったの?」

誰よりも目ざとい次女がいち早くそれに気がついた。

 

「うん、なんかわからんけど当たったみたい」

「ふぅ~ん、で、何?これ」

「だから、なんかわからんって言ったやん」

 

実は、先日の無料サンプルを自分が嫁名義で勝手に応募したものだった。「当選」などとややこしい文言を箱に印字するものだから余計に混乱を招く。

 

「あれじゃね?テキトーにiPhoneいじくっている間にどっか触って勝手に応募しちゃったとか?」

 

以上は次女にネタバレする前の嫁と次女の会話である。次女に事の真相を打ち明けると、

「へぇ~、応募するだけでそんなのがもらえるなんて超ラッキーやね。でも、お母さん、純粋に当たったことが嬉しかったみたいやでこのことは黙っとくゎ」

 

知らぬが仏とはよく言ったもんで、まぁ、フェイクではあろうとも、一人の人間に夢と希望が与えられたのにはメーカーの思惑であろうが無かろうが良かったのかも知れない。

 

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