氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

疑うべき障害

退院後も定期的に病院に通うこととなる。この時ばかりは夜の仕事でよかったと思った。というのも、家内はメンタルが非常に弱く、障害のある可能性を認めつつもそれをはっきりとさせることに恐怖感を抱いてか、ひとりだと病院に行きたがらないからだ。必然的に自分が行く、それに彼女が付き従うということになる。

 

それに予後のこともある。実は障害はありませんでした、というのならばそのまま胸をなで下ろすだけで済むのだが、やはり障害者でしたと答えが出たのならば、今後どの様に接していけば良いのかも含めその障害に対する認識や知識を身につけていかねばならない。

 

担当医は男性で、この分野ではまぁまぁ顔が利く医者だと聞いていた。メガネをかけて口ひげを生やしている。やせ型で身長は170cmほど、年の頃は 40代半ばといったところだろうか。白衣ではなく、何やら可愛い模様がはいったスモッグの様なものを身にまとっている。子どもに威圧感を与えない工夫だと考えるが、顔立ちとのギャップに少し違和感を覚えた。ただ口調は穏やか、声は優しく感じられ威圧感は全くない。

 

「まだはっきりとしたことは言えませんが、検査でわかると思います。もし疑うべき障害があるとするならば、合併症の心配もありますから…。」

 

医者が言うところの「疑うべき障害」は概ねダウン症候群のことだろう。それは既にこちらも意識をしていた。染色体の異常を調べる為の血液検査は即座にお願いした。家内だけだとこうはいかなかったかも知れない。

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姉妹で土の字 姉(ダウン症)9歳、妹7歳