氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

拘束にも似た家族との過ごし方

市場で知り合った観光ホテルの出入り業者から、そのホテルのディナーチケットを頂いた。お宅とお付き合いをする代わりにイベントチケットの購入をお手伝いして下さいね、といったよくある話が入手の経路らしい。これを巷では「共生の原則」と呼ばれている。

ただ、手に入れた?入れさせられた?ものの、そのはけ口を見い出せないままイベント期間が終了してしまったのだが、場所を変えて同ホテルのレストランに於いては9月いっぱい利用出来るのだとか。

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「5枚あげるで、絶対に家族で行ってね。それ以外で利用するなら金返してもらうで」
「わかったって。大丈夫。他に使う当てなんてないから」
「この、おっさん、そんなことばっか言うけどホント信用ならんで」
「何言っとんの。信用が服着て歩いているなんて、まさしくオレのことだよ」

 

正直、ホテルにディナーチケットといった組み合わせならば他に考えられることが無くも無い。ただ、5枚だしな~。2回行けたとしても1枚余らせるってのも何だし…。苦悩の末、せっかくだから公約通り家族で使わせてもらうことにした。

 

自宅からホテルまでは約7kmの距離がある。車で行くのが妥当だが、何度も言うが我が家は5人家族にも関わらず5人乗れる車が1台もない。といったわけで、知り合いのタクシー会社社長に手立てはないかとお願いしてみたところ、6人乗りのタクシーを手配して頂けるということで、その温情に甘えさせて頂くことにした。アルファードには初めて乗ったが実に快適だった。

www.taxi-hinomaru.co.jp

 

2時間飲み放題付きということだったので、帰りもタクシーだと安心して飲める。ただ、ここで問題が生じた。たまの飲み会ならば会話も弾み、2時間程度ならば「あっ」と言う間に経過してしまうだろう。ただそれが家族となれば話は変わる。普段、家庭に於ける食事に費やす時間は長くて30分。5人が全員揃って2時間を費やすことなど、旅行での車中以外はそうそう無かろう。

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自宅警備員」を自称する坊主には相当、我慢が出来なかったらしい。「散歩をしてくる」と言ってホテルの外まで出かけて行ってしまった。その点、まだ女子はたくましい。アイスクリームと様々なデザートのリピートでなんとか乗り切ることが出来た。自分はといえばビールを赤ワインに変え、そろそろいい感じになってきた頃に何故か汗だくになって坊主が帰ってきた。

 

「尚子ロードを走ってきた」らしい。
「そうか、けっこうランナーいたんじゃね?」「いた」「よくそんな中、私服で走れたもんだな」「ジーンズ姿のおっさんが走ってたから、まあいいかな、って思って」

runnippon.jp


恥も外聞もなく全身汗だくでホテルに戻ってこられるその若さゆえの無神経ぶりは実に羨ましい。よい腹ごなしになったのか、その後はカレーライスをパクついていた。

 

坊主に聞けば、5人揃っての夜の外食は、今や高校3年生の坊主がまだ小学生の時以来だとのこと。凡そ6年が経過している。次回はいつになることだろう?出来ればおめでたい席であることを願いたい。願わくば近々に…。