奇跡の邂逅 40年ぶりの出会いと切ない別れ
「グラスの底に顔があったっていいじゃないか!」と言ったのは今は亡き岡本太郎だが、オンライン飲み会があるのならばオフライン飲み会があってもいいじゃないか!それって普通の飲み会ちゃうんけ?自分の場合はただの独り飲みをそう呼びます。
はい、つかみはOK。足なわけ、もとい、手なわけで今日もデリネタです。
プルルルルル、プルルルルル♫
「はい、ありがとうございます。『電話して来んな屋』、S・ボンバー・ボボが承ります」
「すみません。チラシを見てお電話しているんですが、デリバリーお願い出来ますか?」
「お住まいはどちらでしょう?」
「岐阜市ほにゃららほにゃらら町ほにゃらら丁目のほにゃらら番です」
「かしこまりました。ではご注文をお願いします」
てな感じでデリのオーダーを頂いた。
夕時の配達だったので、そのまま直帰する、あとは頼む。骨は拾ってくれと言い残し店を出た。
Google先生に道案内をお願いし、恐らく現地と思われる場所に着いたもののオーダー時に頂いたお名前の表札がなかなか見つからない。致し方なく、頂いた電話番号に電話をしてみた。
「もしもし、小〇様のお電話番号でよろしかったでしょうか?」
「違います。ガチャ。ブーブーブー」
どうやら電話番号を間違えた様だ。いや、それにしてももうちょっと愛想よくしてよ。履歴残ってんだからイタズラ電話しちゃうぞ♡
仕切りなおして今度こそ。
ピッポパッピポッぺッポ♫
「はい、小〇です」
「恐れ入ります。『電話して来んな屋』と申しますが。恐らく近くにまで来ているとは思うのですが、ご自宅が見つからなくて…。〇〇商事の前にいるのですが、おわかりになられますか?」
「あ、はい。その左隣です」
「あ、そうなんですね。只今、到着致しました」
左隣の家を確認すると、確かに小〇という表札が掲げられていた。と、同時に〇川という表札も。デリバリーを始めてから二つ表札が掛けられている家をよく見かける様になった。いつか誰だったかが大臣時代に、子育てをするには奥さんの実家が近い、若しくは奥さんの実家でと推奨したことがある。いわゆるサザエさんでいうところのマスオさん状態が好ましいと。その一点に関してのみ、自分は賛同を覚えた。ここもその類いかも知れない。
「ありがとうございます」
と、白髪混じりの髪にマスク姿の女性が現れた。
「あ…」
その顔を見て改めて表札を確認する。「小〇」に「〇川」
お代を頂いてそのまま帰ろうとしたものの、どうしても確認したい気持ちが止められなかった。
「〇川さんですか?」
「はい?そうですけど」
「ひょっとして〇〇高校の陸上部にいらした」
「えっ?!」
「僕、後輩のS・ボンバー・ボボです。お久しぶりです」
旧姓が〇川、彼女が高校当時に付き合っていた方が小〇であったことは知っていた。その後、結婚したという話を風の噂で聞いていたが、それがこの様な形で再会を果たすことが出来るとは驚きだ。
学年が二つ上の彼女は、女子陸上部の部長をしていた。その容姿も端麗で1年生の男子には高嶺の花だったが、普段から優しく接してくれたことを覚えている。自分にとっては憧れの的だった。
しかし、歳月というものは残酷なものだ。余りにも時が経ちすぎた。自己紹介を済ませると、まるで身を隠すようにそそくさと自宅へと戻ってしまった。いつまでも高校時代の様な姿かたちでいられはしない。でも、それはお互い様です。もう少し旧交を暖めたかったが残念だ。
ということで冷やし中華始めました(非売品という名の賄い)