氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

そんなことよりもジュージューが気になる

♫リモートよ~、ふすま一枚~、隔~てて~今~♫

 

わかる人は涙する、わからない人はスルーする、世代間ギャップの激しいフォークなソングはここまでです。

 

相変わらず我が家の夫婦間の会話はLINEを使って行われることが多い。もちろん、家庭内に於いての話だ。ふすま一枚どころか部屋四つほど隔てているので、必要とあらばわざわざ赴くよりもその方がてっとり早いのは確かだ。まぁそうは言っても会話の多くは夕飯の用意が出来たことを知らせる「ごはん」が殆どだが。

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一昨日も「ごひん」とLINEがあったので台所へ向かうと、誰かと電話をしていた。フライパンの上では何かがジュージューと焼かれている。当初は箸でそれをひっくり返しながら会話をしていたのが、会話の内容がヒートアップするとサンダルを履いて外へと出て行ってしまった。相変わらずフライパンの上では何かがジュージューと音を立てている。

 

「女の電話はなげーな」

ボソッと坊主が呟く。オンラインで毎日毎日1時間以上も男同士で会話をしているお前が言うな。それも電話と一緒だろうが、とツッコミたかったが、今はそんなことよりもフライパンの上のジュージューの方が重要だろう。

 

「おかあさ~ん」

と次女が呼びに行くも忽然と姿を消してしまっていたらしい。二つのことを同時にこなすのが苦手な彼女のことだ。恐らく料理途中だということを忘れてしまったのだろう。

 

「仕方ないな」

滅多に台所に立つことはない、というか、魚を下ろしたりマグロを柵取りしたりと専ら魚を扱う時くらいしか台所には立たない。「というか」パート2、台所に立たせてもらえない。フライパンの中にはパン粉がまぶされた何かが横たわっていた。どうやらチキンカツの様だ。ただ、たっぶりの油で揚げるバージョンではなく、いわゆる「ミラノ風カツレツ」などに代表される揚げ焼きといったスタイルだ。「ミラノ風カツレツ」がわからない?ググれ。

 

一応、和食も洋食も渡り歩いて来た経験者であるからにして、ほぼ現役を退いてしまっている今であったとしてもこれくらいのことは晩飯の前だが朝飯前だ。ちゃっちゃと調理を済ませフライパンを洗いその辺の物も全て洗い終える。そしてキッチンの掃除を済ませてからとっとと食ってとっとと飲んでさっさと自室に引きこもった。未だに嫁は帰ってこない。

 

老眼と白内障にムチを打ちつつ提出しなければいけない書類に目を通していると、嫁が部屋に入ってきて、自分の後ろ姿に向かって

「ありがとうございました」

と礼を言ってきた。実に意外だった。自分に「手伝った」という意識が全く無かったからだ。ただ、どうせ言われるのならばLINEで礼を言われるよりはその方がマシだろうし、より常識的なことだろう。「というか」パート3、お礼よりもむしろ料理をしながら行方不明になったことをお詫びなさい。

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