早ければいいってもんじゃないよね、嬉しいけど。
「父の日、おめでとう!」
「わー、ありがと~!」
食卓に着くと「せーの」と隠し持った缶ビールがテーブルに並べられた。娘達からのプレゼントだ。なぜか缶コーヒーも1本ある。
日曜日が父の日だということをすっかりと忘れていた。母の日に比べ蔑ろにされる日であることは重々承知していたが自分自身がすっかりと忘れてしまっていた。
「嬉しいな。ありがとね。でも父の日に『おめでとう』はちょっと違うんでないかい?」
「そういえばそうやね。おつかれさま?」
「まぁ、それでも悪くはないけど、普通はありがとうとかじゃないかな?」
「だよね。いつもありがとう」
「いやいや、こちらこそ」
実は少し前に父の日のプレゼントと称し手作りのカードをプレゼントされていた。そこにはちゃんと「いつもありがとお」と記してあるにも関わらずどこで間違えた?
せっかくだからその場で1本だけ頂戴した。
食後に自室でくつろぎつつ、父の日にどういった由来があるのだろう、とふと気になった。そこで検索ボックスに『父の日』と打ち込んでみる。最上段に『6月21日日曜日 2020父の日(日本)』と出ていた。
来週やんけっ!
道理でラジオやテレビからも父の日の『ち』の字も飛び出すことがなかったわけだ。翌日、要するに昨日だが、
「父の日って本当は来週なんだよね」
と次女に話すと、
「えっ、嘘?だってお母さんが今日は父の日やよって言ったんやもん」
と案の定の反応。やはりガセネタの元は奴だったか…。
「まぁ、いいけど。お父さんですら知らなかったことだし」
で、肝心の父の日の由来についてはアメリカのなんちゃら大統領が演説をしたから、と書いてあったが何故、大統領が演説をしたら父の日になるんだ?そんなことだから毎年毎年、蔑ろにされるんだよ!と、怒りをぶつけたところで父の日なんて所詮そんなもんです。