氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

コオロギに思う少子化対策

出勤し事務所入りすると、何処からともなく「コロコロ…」とコオロギが鳴く声が聞こえて来る。正確にいえば鳴き声ではなく、羽と羽をすり合わせる際に生じる共鳴音だ。

「秋だねぇ~」

日中はまだまだ夏の余韻を残し衰えぬ暑さだが、季節は確実に移ろいつつある様だ。秋の風情に暫し耳を傾ける。

 

と、そこまでは良いのだが、

「ちょっと待てぇい!ここは3階だ!」

そう、今まさに自分がいる、ここ3階から鳴き声が聞こえてくる。

「おいおい、どこからどう入り込んで来やがった?こうなりゃコオロギもゴキブリも似た様なもんだな」

見た目もどことなく似ている。ゴキブリにしても美しい音色のひとつでも奏でることが出来たならば今ほどまでに嫌われることは無かっただろう。その不遇さを哀れに思い、思わず目頭をハンカチでおさえる。あぁ、今朝も逆まつ毛が眼球を刺激する。

何故コオロギは鳴くのか?答えはひとつ。それは種の保存の為だ。要するに、交尾をする為にオスがメスを呼び寄せているということになる。しぶとくもメスを獲得するまで鳴くのを止めないそうだが、中には獲得出来ぬまま絶命することもあるのだとか。セミもまた同じくメスを求めて鳴く。こうなると秋の風情もあったものではない。コオロギや鈴虫の綺麗な鳴き声が、

「やりたい~、やりたい~」若しくは「やらせろ~、やらせろ~」

と聞こえてしまう。少子化の折り、日本の男性達も虫に負けぬよう大きく声を張り上げて頑張って欲しいものだ。

 

話は変わるが先日のこと、娘達を連れてホームセンターへ暇つぶしに行くと、ビーズクッションが置いてあった。『さわって下さい。やみつきになる感触』とキャッチが打たれ、幅80cm、奥行80cm、高さ1m程の金属の網で出来たカゴに無造作に、それもかなりの数が詰め込まれていた。「ビーズクッション」がわからない?ググれ。

 

「これ触ってみ。気持ちいいぞ~」娘達に促すと、

「どれどれ」と二人して触り始めた。

「やぁだぁ~、なにこれぇ~、気持ちいぃ~♡」

「気持ちいいだろ?」

「うん、私このカゴの中に入りたぁ~い♡」

次第にエスカレートしていく次女。長女は無言でひたすら頬擦をしている。

「うちに連れて帰ろぉ~♡」

「犬や猫じゃないんだから(笑)」

「ねぇ、買って!カゴごと買って!」

「幾らだ?」

ふと値札を見ると1個900円と値が付いていた。買って買えないわけではないものの、どうせこいつのこと。3日もすればどうせ飽きてしまうだろう。

「また今度な。今度来た時買ってやる」

そそくさと売り場を変えました。何を買うといった目的もないまま商品を手にとっては垢を付ける様に物色し、そろそろ帰るかと娘達を促し出口へ向かおうとすると、

「ねぇ、お父さん。もう一回だけ触ってきてもいい?」

返事も待たずして再びビーズクッションの元へと二人して消えて行った。

 

用事があり百円ショップ「キャンドゥ」へ足を運ぶと何気にビーズクッションが売られているではないか。「なんだ、百均にあるのか」という事で先ずは自分の為に購入。就業中の居眠りが少し楽になった(つ-ω-`)zzZ

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