お前はもう死んでいる。
昨日は宅の坊主の初出社だったが、朝7時に自宅を出るとか言っておきながら、6時から目覚ましがずーっと鳴りっぱなしだっつーのに案の定、起きて来やがらない。
6時半になるまで耳障りな目覚ましの音に耐えたものの、さすがにこれ以上は放っておく事も出来ず甘親を披露してしまった。
「いつまで寝とるんじゃ、はよ起きんか、クソボケッ!」
「オグワッ!」
お前は秘孔を突かれた極悪人か?
余程、耳に響いたのかけったいな悲鳴と共に飛び起きた。初日からこれでは先が思いやられる。たまたま、自分がいたから運が良かったと感謝しろ。昨日は市場の休場日。要するに早朝の仕入れがない。
罰として寝癖のついた後頭部を晒してやる。
何?寝癖がつくだけまだマシ?
あやまれ!全国の寝癖がつかない人にあやまれ!
どうどう…。
「どの道から行けばいいやろ?」
この期に及んでまだ通勤経路を模索している。
「だから、お母さんがせっかく教えたるって言っとるのに、聞かんあんたが悪いんやろ」
また、朝っぱらからいつものバトルが勃発する予兆が見られた。ただ、坊主も初出勤を前に心得てか言葉も返さず、よく言えば黙っている。悪くいえば無視だ。
「時間帯によっても違うだろうから一概にどれが正しいかとは言えないだろ」
代わりに自分が返しておいた。それに、出勤先である隣市の各務原市へ勤めに出たこともない者の言葉には欠片も信ぴょう性がない。少なくとも自分にはその経験がある。ただ言えるのは、色々試してみて自分に合う道を選べということだけだ。
「人の行く裏に道あり花の山」という言葉がある。
多くの人が行く場所よりも、だれも行かないようなところにこそ、満開の桜(チャンスのたとえ)が見られるという意味だ。
そのことを伝え、それには先ず裏道をちょこちょこと走り回るのではなく、王道を行けと伝えておいた。それがわかった上での「人の行く裏に道あり花の山」だ。
まぁ、かっこいいことをサラリと伝えてみたものの、この言葉って投資に使われる言葉なんだよね。通用すればまぁ、いいか。