氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

カ、カ、カブが、カブが、カブちゃんがーっ!

「親父、バイク貸して」

と700m先のコンビニに行くためだけにバイクに乗りたがる坊主。


「ああ、いいよ」


先日のこと、

「カブの乗り方を教えて」

と頼まれたので、男子たるもの原付くらいは乗れなあかんやろと教えてやることにした。基本スクーターと一緒でスロットルを開けるだけで進む構造だ。ただ、変速をしないと永遠にローのままで走らざるを得ないのでギアチェンジの方法と、止まる時は必ずフットブレーキも同時に使うよう指示しておいた。


「いつ乗ってもいいけれど、長袖に手袋は絶対だからな」

これは自らが転けた時の体験を活かしたアドバイス、というか、バイク乗りにとっては常識だよね。まだ乗り始めの頃に実際、派手に転けはしたものの、その時は長袖で助けられたことがあったからだ。


トボトボトボと特有の排気音を鳴らしながら走り去る音が聞こえてきた。しばらくすると玄関の戸が開きバタバタと廊下を走る足音が聞こえる。帰宅したのか?それにしてもバイクの音が聞こえなかったけれど…。


「親父、悪い。転けた」

「なに!」

半袖の腕がズル剥けになり血が滴り落ちるほどに滲んでいる。


「言うこと聞いて長袖にしとけば良かった」

「そんなことよりも大丈夫か?骨は?」

「骨は大丈夫やけどめちゃくちゃ痛ぇ~」

「なら、いいけど。絶対に転ぶとはおもったけれど、アドバイスくらいちゃんと聞いとけ」

「いや、それよりも…、これ」


なんだそれ?それって、えっ?キックペダル?

「折れてまった」

「マジかーっ!」


慌てて見に行くと折れたは折れたでも、折れたのはペダルじゃなくてスピンドルの方じゃない。

「マジかーっ!」PartⅡ。

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「ごめん。弁償するで」

「おまえ、貯金もまともに無いだろうが」


貯めていた貯金をほぼ車いじりに使ってしまった事実を知っている。

「まぁ、何にしても大したことなくて良かったゎ」


幸いにしてカブは押しがけが出来る。街で押しがけをしている人を見かけたら自分だと思ってちょうだいね。

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