『特上海鮮丼』で「So Good」な午後のひととき
たかだか396mの山程度で疲弊する体力など持ち合わせてはいないが、先への展開により疲弊した体で話を進めさせてもらう。「川辺権現山」を下山したのは未だ午前11時のこと。そろそろ昼食といたしましょう。
帰り道にある岐阜県関市に以前から行ってみたい店があった。「食道やま」だ。
人知れずひっそりと営業していると聞いていたのだが、まだ12時前だというのに駐車場は既にいっぱい。昔ならばいざ知らず、今や口コミよりもネットで得られる情報の方が圧倒的に早いということだろう。
案の定、テーブルに席はない。ただしカウンターが2席空いていたので腰を下ろそうとしたら、
「ごめんなさい。満席です」
と断られてしまった。予約でもあるのだろうか?と思ったら、
「カウンターは2組だけとさせて頂いております」
だって。既に2名客が2組座っていたのでたった1名だろうが却下というわけだ。これもあれもそれもどれも例のアレによる対策の一環だという。店の方針とあらば素直に従わざるを得ない。仕方なし。違う店に行ってみよう。
「鮮魚専門お食事処 魚(うお)」は鮮魚店も同時に営んでいる。
店主は魚の卸売市場で仲卸の経験があるそうだ。見慣れぬ人にはちょっとした水族館気分も味わえる。
さて、こと魚に関しては自分も一家言もつ面倒くさい人間だ。お手並み拝見とばかりに一番値段の高い『特上海鮮丼(酢飯)1,980円』を注文してみた。ご存知の方はご存知のように、回転寿司に行っても魚はしめ鯖くらいしか注文しない。つまり、魚に関しては自分で仕入れた物以外、他所で口に入れることは滅多にない。結果から言うと、自分をして驚かせる内容だった。
まぁ、ネタが豊富なこと豊富なこと。握りネタにすれば20貫程のネタが散りばめてある。蟹爪なんてドラえもんとじゃんけんしても負けなのに勝ちそうな勢いだもんね。
ウニも高いけどトリ貝なんかもけっこう高いのよ。今がちょうど旬になるんだけど、仕入れ値を考えるとメニュー価格を幾らにすればいいんだよ、っつー感じだもん。
量もネタの鮮度も存分に満足したところで、食後のコーヒーと参りましょうか。
徒歩3分の距離にある「So Good」は田んぼと民家に囲まれたオシャレなカフェだ。
隣の平屋が店主の住居となっており、棟続きに店が建てられている。ご主人は建築士と聞く。如何にもそれらしい店だ。
窓際のカウンターに座り休耕田に茂る「スズメノテッポウ」を眺めながらコーヒーをジュルジュルとすすっていたら、午前中の登山の疲れが出たのか心地よい睡魔に見舞われる。
いや、疲れてなどいない。それを言ってしまったら一行目を否定してしまうことになるじゃん。きっと、『特上海鮮丼』で血糖値が爆上がりしたことが原因だろう。きっとそうに決まっている。