氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

迎え酒からの乗合バスエレジー

退職して以来、久しぶりに飲み会があった。

 

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それも2日続けてだ。前日の晩はビールに始まりハイボールに進むと禁断の日本酒にまで手を出してしまった。こりゃ、二日酔いになるお決まりのパターンだ。珍しく記憶を失うことは無かったが、案の定、翌朝も酔っ払っていた。


自分の場合、二日酔いとはいっても吐き気をもよおしたり頭が痛くなったりするのとはわけが違い、文字通り二日目も酔っ払っている状態にある。自分で酒臭いのがよくわかるんだよね。そして、まだ酒臭いまま二日目の会場へ向かうためにバスに乗る。スタートが昼の1時だっていうから酒を抜く時間もないわけさ。世にいう「迎え酒」ってのを味わってこようじゃないか。


ただ、二日酔いを誘発したのが前日のチャンポンだと判明していたので、二日目はビールだけにしておいた。カウントはしていないが、それでもそこそこの量は頂いたかと思う。いや、二日酔いには良い薬になったな。


バスを利用する時は実に用意周到だ。片道480円を往復分、用意し各々をズボンの両ポケットに入れておく。行きの乗車賃は左のポケット、帰りの乗車賃は右のポケットという具合だ。いつも飲み会からのバスで帰宅という流れは、野落ちして乗り過ごす話に展開するケースが多いというか殆どだが、まだ時は夕方の6時半だ。さすがに乗り過ごすことは無かったと先に伝えておこう。


降車する予定のバス停から2つ手前のバス停に到着した。少女がか細い声で運転手に訴えている。

「すみません。1万円札しかないのですが、両替出来ませんか?」

「1万円札はだめだね。小銭を持って乗車してくれないと」


バスに乗ると度々このようなやり取りに出くわす。以前、車内アナウンスにて

「お客様でどなたか1万円を両替出来る方はいらっしゃいませんか?」

といったやり取りに出くわしたことがある。慌てて自分の財布の中身を確認するも、残念ながら千円札が6枚しか入ってなかった。


「じゃ次回、利用する時に今日の分も払ってね」

前回に同じく、今回も運転手が機転を利かせたお陰で見事、無賃乗車に成功。ただ、意図的でないことを願う。


ふと周りを見渡すと、乗客は自分だけになってしまっていた。

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「ご乗車ありがとうございます。お忘れ物など無いよう、身の回りをご確認の上、お降りください。出口は段差となっています。お気をつけてお降りください」


ほぼ、何もしゃべらない運転手も中にはいるが、この運転手はその真逆にあった。たったひとりの乗客である自分に向かって実に丁寧な声がけをしてくれた事に感謝の思いを込め、

「ありがとうございました。運転お疲れ様でした」

と声を掛け降車するダンディな自分は実に素敵じゃないか。乗車賃回収ボックスに小銭をバラバラと入れるとバスを降り家路を急いだ。


途中、ズボンのポケットに手を入れる。

「あれ?あれれ?」

100円玉が1枚入っていた。余分な乗車賃は用意していない。ということは、ひょっとして運賃未払い?いや、ひょっとしたらじゃないよね。ま、いっか。何も咎められなかったし。次回利用する時に100円余分に払っておこう。次回があれば、若しくは忘れていなかった場合に限るけど。

 

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