氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

怒りの「金華山」で三角点探しの巻

「日曜日、金華山馬の背登山に連れて行って下さい」

とお抱えの設計士からLINEが来た。大酒飲みでヘビースモーカー、おまけに心臓に持病を抱えている。いわば健康とは真逆の立場にいる彼だ。何を思って言い出したのかはわからないが、連れて行って下さい、という謙虚な言葉からは少なくとも先輩登山家へ向けた敬意が読み取れるというものではないか。因みに年齢は自分よりも3つ上だ。


「午前中ならば良いですよ。午後は仕事なので」

と返しておいた。ついでに長良川河川敷の無料駐車場は渋滞が出来ることがあるので、対岸にある高橋尚子ロードの駐車場で待ち合わせしましょう、と午前9時に約束をした。


前日の土曜日。

「日曜日、9時。尚子ロード駐車場よろしくお願いします」

と確認のLINEが入る。彼には珍しい気合の入りようだ。しっかりとエスコートしてやらねばならない。ま、自分みたいなベテラン登山家にとっては金華山の馬の背などケンケンパで余裕で登れる程度の登山道だが、素人さんにはちょっと酷だろうな。なにせ金華山の中では一番の難所とされている。連続する切り立った岩場や網の目の様に木の根っこが入り組んだ急登と中々スペクタクルに富んでおり、その分、登山の醍醐味が味わえる。

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当日の朝になり尚子ロードへと向かう。余裕をもって自宅を出たのだが、あまりにも余裕をもちすぎて約束の15分も前に着いてしまった。車の中で時間を潰す。ところが約束の9時になっても姿を見せない。元々時間にルーズな人だ。人を待たせても人に待たされるのはプライドが許せないと豪語している。よくそれで仕事が貰えたものだ。


ところが5分過ぎても10分過ぎても姿を見せないどころか連絡すらない。業を煮やして此方から電話をかけてみた。10回目のコールでやっとつながる。


「もしもし、まさか寝てんじゃないよね?」

「え?あれ?今日って日曜日?」

「なに言っとんの。昨日、確認のLINEしてきたやん」

「あー、ごめんなさい」

「もう、今日は無しでいい?」

「そうして下さい」


なんじゃそりゃ(怒)


ま、せっかくここまで来たのだからと1人で登りに行こう。1人ならばと同じ登るにもランニングでと走り出す。

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とはいえ、さすが日曜日だ。家族連れやらハイカー達で登山道が人で溢れている。とても走って登れる状態ではない。すなわち登山渋滞を余儀なくされた。


ならば目的を変えてみよう。この金華山にも三角点があると伝え聞く。ただ、その所在地がベールに包まれているのだ。よし、今回はその三角点を発見してやるぞ。よく勘違いされているが、三角点は山頂にあるとは限らない。あくまでも測量に使うものなので、見晴らしが良いことが条件となれば必然的に山頂となるらしい。なんなら自宅近所の公園にも三角点は存在する。


山頂に着くと捜査開始。

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大勢の登山者や観光客がうごめく山頂付近をあちらでもない、此方でもないと丹念に舐めるように虱潰しに探索した結果、あった、あった、ありました!まさかのまさか、こんな所にございましたとは!こりゃ、わからんゎ。

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ということで、約束はアレだったけれど、運動にもなったし目的の物もみつかったし、まぁ、良い日だったかと言えよう。お暇ならば貴方も探しに行くといいよ。

 

おまけ

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