氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

奢るとは言ったが遠慮をするなとは言ってない

今更ながら宅の坊主も成人式を迎えたらしい。そういえば日曜日だというのにやけに早起きをしていた様子だったし、自分の部屋にのそーっと現れては、

「おやじ、ネクタイの結び方教えて」

と言っていた。教えるのが面倒だったので自分の首に結んでそのまま手渡しておいたけど。長さの調整は自分で出来たのだろうか。

 

自信が持てなかったので奴の母親に

「ひょっとして今日が成人式か?明日じゃないのか?」

と尋ねてみたところ、どうやら日曜日が本番だったらしい。そうか。成人式はぶっつけ本番のリハーサル無しなんだ?自身の成人式には参加しなかったのでそのあたりの常識には少々疎い。

 

と、いい加減、わざとらしく知らなかったふりをするのも辛いので、ここらで親世代を代表して一言。

「新成人の皆様、誠におめでとうございます!」

ま、この場でいくら声を大にして祝辞を述べても、これを読んでいる成人がいるとは思えないので虚しく空回りするだけだろうけど。

 

折角のハレの日だ。普段見たこともない父親の見た目だけでないカッコイイところを見せてやろうと

「今晩、うちの店に飯食いにくるか?奢るから。友達も誘っていいぞ。」

とLINEしてみたところ、5分後に「いく」とだけ返事があった。やけに早いじゃねぇか。いつもならばほぼ既読スルーなくせしやがって。

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友達も誘っていいぞ、といった手前、後には引けぬが、もし10人も20人も連れてきたらどうしよう、なんて内心ビクビクとしていたら続けて「4名」と返事が来た。ふぅ、助かったぜ。友達が少なくて良かったよ。

 

実際、現れたのはオタクっぽい野郎4名だった。そのうちの一人は小学校からの幼馴染だ。

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「なんだ、野郎ばかりか。もう、お前ら自分で支払え」

「なんで、奢ってくれるって言ったやん」

ったく、母親と一緒で冗談が通じねぇ奴だ。

 

同じく成人式を終えた女性4名が離れたテーブルにつく。

「おい、あの娘らも成人式の後だってよ。行け!行ってカラオケにでも誘ってこい!」

とけしかけるも、4人が4人ともに雁首をそろえて

「無理~」

なんてぬかしやがる。かーっ、情けねぇ。父ちゃん、情けなさ過ぎて涙が出てくらぁ。明らかに父親のDNAは受け継がれていない。

 

翌日、前日のお礼もそこそこに

「おやじの店は高いな」

だと。何を根拠に高いという?

サイゼリヤと比べたら。サイゼリヤなら1,000円で飲み食いできる」って。

 

馬鹿野郎!サイゼリヤにお前らが散々追加オーダーした国産天然本マグロの大トロや天然のクエや氷見の寒ブリが置いてあるのか?飛騨牛のA5等級のサーロインがあるのか?人の財布だと思ってまったく遠慮もせずに食い散らかし飲み散らかしやがって。客単価が4,000円もいかない街のど真ん中の居酒屋で、お前らが飲み食いした分は4人で27,000円だぞ。支払いは俺のポケットマネーからだっつーの。

 

ま、それはともかくとして、正直、うちでここまで単価が上がることは滅多にない。オタクとて酒が弱いわけではないことを初めて知った。



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