一流著名人がが愛した?@「喫茶・軽食 京」
「お父さん、水曜日にココアちゃんのところまで送ってくれん?」
「なんだ、お前まだあの犬と付き合ってるのか?お手くらいは出来る様になったのか?」
「だからちげーよ。犬じゃねぇって。で、送ってってくれる?」
「何時に?」
「10時ころまでに着けばいいから」
「家へ行って何をするんだ?散歩にでも連れてくのか?」
「ううん、ココアちゃんと一緒にモレラへ行くの。ココアちゃんのお母さんが送ってってくれるって」
「ボケてんだからツッコめよ」
中2になりクラスは違えどもあづ紀とココアの和洋折衷コンビは未だ仲良く続いているみたいだ。
ところがそんなこともすっかりと忘れてしまい、呑気に喫茶店でモーニングサービスを頂いていると電話が掛かってきた。
「何時に帰ってくるの?」
やべっ!時計の針は既に9時半を指していた。慌てて会計を済ませると超高速光回線で自宅へ向け車を走らせる。因みに我が家はユーロ光とソフトバンクの2回線引いてます。
ということで今回、訪ねた先は「喫茶・軽食 京」だ。
たぶん「きょう」だ。京と書いて「みやこ」なんて読ませる変化球は多分、無いと思う。ただ、ひょっとしたら「けい」かも知れない。まぁいい。「職業は人間だ。名前や肩書になど何も意味がない」とかの岡本太郎も言ったとか言わなかったとか。
BGMは日本のソウルミュージックとでも呼ぶべき演歌だ。それも「ど」が付くほどにこぶしが効いた身を捩りたくなるほどの演歌だ。きっと初老のママさんの好みなのだろう。そしてこの手の喫茶店に欠かせないのはこの世代のママさんだ。彼女たちの感性の行き着く先にこのわざとらしい演出が一切感じられない独特の空間があるのだ。
前述したが短い滞在時間を余儀なくされゆったりとくつろぐ迄には至らなかったが、これだけははっきりとさせておかねばならない事がある。帰り間際に尋ねてみた。
「このお店もけっこう長いですよね。何年くらいやってらっしゃるんですか?」
定番の質問だ。
「ん~、40年?50年?何年くらいかしら…」
どうやら名前や肩書になど何も意味がないのと同様に、どれくらい長きに渡り営んでいようが意味がない、というか興味がないご様子だ。
壁に貼ってあるサイン色紙を指差し、
「誰か有名な方がいらっしゃったんですか?」
と訊ねてみた。
「美川憲一とか、ボビー…、ええとなんて言ったかな?あの、黒人の…」
「え?ボビー・オロゴンですか?」
「そうそう、その人!」
「マジですか?失礼ですがこんな店になぜ彼が?」
「なんかトラックに乗って旅をしているとか?で、この近くに泊まったらしいわよ」
近くに宿なんてあったかな?まぁいい。記憶違いということもある。「こんな」と言ってしまったことは気にならなかったのだろうか?
何にせよ「喫茶・軽食 京」は一流芸能人?までもが訪れるセレブな喫茶店だったということが判明した。見た目とのギャップがあまりに有りすぎ自分の想像力がまるで及ばず屈辱貫さえ味わってしまったが、ゆで卵が上手に剥けたのにはご満悦。