氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

ギンギラギンにさりげなく地味

「親父、銀色のスプレーって持っとる?」

「なんだ、頭にでも塗るのか?」

「ちゃう、車」

真面目に返事するなよ。多少はボケろよ。どうやら育て方を間違えた様だ。いや、正しかったのか?まぁいい。

 

「何に使うんだ?」

坊主の車のどこを探しても銀色の部位はない。それとも自力で全塗装するつもりか?それは素人には無理ってもんだぞ。絶対にムラになると思う。確かにお前の父はいつもムラムラしているけれど、車までそうする必要はないだろう。

 

「ガンメタをシルバーにするのか?」

「違う。ブレーキのキャリパー」

 

はい、もうここで付いてこられない人が続出することでしょう。いちいち説明するのが面倒なので一切合切無視します。

 

「ガンメタの車にシルバーのキャリパーか。なんか滋味じゃね?」

「でも青とか赤では合わんやろ」

「まぁ、それもそうだな。ところでオレが銀色のスプレーを持っているかも知れないと思った根拠はなんだ?」

「前、夏休みの工作の時にペットボトルを銀色のスプレーで塗ったやん。その時のが残っとるかなと思って」

「夏休みの工作っていつの話だ?そんなこと覚えてねぇぞ」

「確か小2の時」

「小2って…。何年前の話をしとるんじゃ」

いくら自分が物持ちが良いとはいえ、さすがに12年前に使用したスプレーを保持しているわけがない。それにそこまでの年月が経っていては例えあったとて使い物にはならないだろう。

 

当初はお金を貯めて国産マニュアル車を買うつもりでいたのだが、ご存知の様に半導体不足による新車供給の遅れから需要が中古車にシフトし、それにより中古車相場がアホほどあがってしまっている。中でもマニュアル車は今後、生産されることがなくなるだろうからと需要が沸騰し、下手をすれば以前の2倍3倍の価格がつけられる程にまでなってしまったと聞く。現実問題、今の坊主の経済力では到底、金額的に届かない。

 

「まぁ、今ある車をいじる方が現実的かと思ってさ」

 

よくぞ、そこに気がついた。人間、身の丈に合った生き方さえしていれば、至福は得られないまでも不幸のずんどこに陥ることは先ず無いだろう。連帯保証人にでもなってしまったら話は別だけど。

 

とはいえ、ほぼ毎日の様にAmazonやらなんやらから大小の荷物が送られてくるのを見ると、わずかばかり坊主の経済観念に気を病むところもある。ほぼ車関係の物かと思われるのだが、結果、車を買ったほうが早かったってことにならなければいいけど。

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