氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

娘・段級審査。父・車爆走させる!

休みだ、休み。命を掛けて一日中、寝てやろうと決意するものの、そんな事に命を掛けるのも実際、どうかと思いますよ。それに家族の誰よりも頼りにされる存在だ。多分。

 

剣道の段級審査があるから会場まで送っていって欲しいと次女にお願いされた。会場は隣市の山県にあるらしい。9時からの受付開始とのこと。

 

おいおい、うちは父子家庭かよ。おら、金曜日の晩なんてほぼ徹夜だし、土曜日にしても寝られたのは午前3時だっただよ。しかも例の頚椎の病が原因の神経痛のお陰で横にもなれねぇし。必然的に寝床は椅子の上になる。

 

「いいよ」

頼まれごとは二つ返事が自分の信条だ。ただ、あくまでも家庭の中と限定されたことなので、調子にのって金を借りに来たりするんじゃねぇぞ、この野郎。

 

Googleで「山県市総合体育館」と検索すると、自宅から凡そ28分で行けるらしい。となれば8時半に自宅を出れば余裕で間に合うだろうとそれまで出来るだけグズグズと時を過ごしていた。

 

Google先生に導かれるまま車を走らせる。

山県市総合体育館って凄い辺鄙なところにあるんだな」

「私も行ったことがないからわからん」

地図が指し示す先が近くにBBQ施設や登山が楽しめる山がある風光明媚な場所だけに、なんとも不思議な気持ちだったが、Google先生がいうからには間違いないのだろう。

 

…と思ったのだが、いざ現地についてみるとどう考えても総合体育館の威厳がかけらもない、廃校舎を再利用した何かしらの施設があるのみで、人の姿も見受けられず「これはおかしい」と気がつくまでに然程の時間を要することもなかった。

 

Googleで検索した「山県市総合体育館」に電話を入れてみる。

「はい、もしもし『山県市総合体育館』ですが」

以下、割愛。

 

なんということか!場所が全く違うでねぇの。電話番号はそのままで、全く違う場所を教えるとはGoogle先生、あなたってGoogle先生は!

 

場所の目安は山県警察署だといわれ、此度はそこを行き先に設定する。現地到着まで約17分。現在の時刻は9時15分。受付終了が9時30分だから、残り時間が15分しかない。時間が足りねぇ。ここからは一切の交通法規を無視。かつて鍛えたドライビングテクニックを駆使してマッハで会場へと向かう。

f:id:Croquis009:20211212180141p:plain

本物の「山県市総合体育館」から検索した偽物の「山県市総合体育館」までの道のり

 

「取り敢えず道具は車の中に置いたままでいいから、受付用紙をもって受付にまで駆けつけろ」

「わかった」

 

山県警察署が見えた。左手に大きな建物が見える。目指すはアレに違いない。時速180kmでドリフト気味に左折すると会場の真ん前の乗り付け、と同時に次女を走らす。

f:id:Croquis009:20211212180022j:plain


自分はといえば車を駐車場に止めると防具等々を両手に抱えあとに続いた。

 

エントランスには脱ぎっぱなしの次女の靴がポツンと置かれたままになっている。防具を抱えたまま動向を見守る。

f:id:Croquis009:20211212175956j:plain

 

「ギリ、間に合った!防具ありがと!」

再び顔を見せたかと思えば、言葉もそこそこに防具を受け取ると階上へと走っていった。「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムになった気分だったぜ。

 

「おい、靴!靴もってかにゃ!」

「二階の荷物置き場に荷物を置いとくで、サイドバッグに靴袋が入ってるからそこに入れておいて」

って、どこまで親を使うつもりだよ。

 

仕方がないからよっこらせ、と靴を拾い上げ二階へと向かうも、おいおい、この中から荷物を探せっていうのかよ。わかるわけねぇじゃないの。

f:id:Croquis009:20211212180059j:plain



にほんブログ村 オヤジ日記ブログ いきいきオヤジへ
にほんブログ村