氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

渡辺真知子なカツオ

現在過去未来~あの人に会ったなら~♪

 

何も道に迷うのは人だけではないらしい。カツオの世界にも方向音痴なものが存在する。本来、カツオというものは黒潮のり太平洋を北上するのが生態なのっだが、中には対馬海峡辺りで道に迷い日本海に入り込んでしまうものもある。

 

「あれ?なんか水冷たくね?」

と気がついた時にはもう手遅れ。怖~いおじさん達が我よ我よと網を張って待ち構えているのだ。

 

方向音痴といえば全くカツオのことを言えない自分ではあるが、捕まらないだけまだマシかも知れない。静岡からの高速に乗り岐阜へと向かうのに、一宮インターチェンジを下り名古屋へと向かってしまった経験は何度もお披露目したことだが、カラフルタウン岐阜では車の駐車位置にたどり着けず1時間以上徘徊したことがある。岐阜高島屋では出入り口がひとつに定まらない。そんなことを何度も繰り返している。

 

で、その道に迷った渡辺真知子はどう呼ばれているかといえば、まんま「迷いカツオ」と呼ばれている。当然、稀有な存在であるからにして水揚げは極めて少ない。ただ稀有というだけでなく、漁獲されたが最後、右から左へと飛んでいく人気商品に早変わりしちゃうわけなんですよ。日本海という冷水に晒されることによって寒さから身を保護しようと脂が蓄積され、全身がとろっとろのトロ。まるでマグロのトロを食べているかの如く錯覚される逸物となるわけだ。そりゃ、料理やが放っておく手はない。

 

ただ、こういった知識も全ての人が持っているわけでは無いからね、知っているだけで優位に立てることもあるわけだ。ということで並んだ途端に間髪入れず引いてきた。

f:id:Croquis009:20211120111923j:plain


こういった買い物が出来るのも仕入れ人の醍醐味ってやっちゃね。

 

気持ちよく帰宅すると嫁が待ち構えた様に、

「冷蔵庫の卵食べた?」

と訊いてきた。前日の朝、冷蔵庫を覗くと鶏卵が22個あったので、その内の2個をくすねてゆで卵にしたのだった。

 

「なんで2個も食べるの」

買い置きを忘れて朝食としているヨーグルトがその日はなかった。卵が沢山あったから2個くらいもらってもいいだろうと判断したわけだ。

 

「卵の2個くらいいいだろ」

「朝からよく食べるね」

おいおいおい!卵だよ?いったい2個の卵が価格にして幾らになるっての?そりゃ、料理として化けるとするならばだし巻きやオムレツはボッタクリだよ?でも自宅でゆで卵にして食べたくらいでそこまで非難されることある?

 

俺だって生活費の一部を享受する権利があるんじゃねぇの?稼いでんだもん、と言いたかったが、面倒なので

「どーもさーせんでした」

と謝っておいた。なんか、うちって凄く貧乏なのかも知れないって気がしてきた。

にほんブログ村 オヤジ日記ブログ いきいきオヤジへ
にほんブログ村