氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

返ってきたクズリとカピバラ

時はまだ緊急時他宣言が発令されている最中、店は営業しているものの配達がなく、つまり何もすることがなく燻るばかりの酒販店に陣中見舞いをと社長に会いに伺った。因みに手ぶらだ。陣中見舞いというよりもむしろ慰めに近い。

 

店内に足を踏み入れると来客を知らせるチャイムが鳴る。それに呼応したかの様に本人が店頭に顔を出した。

 

「どうだ、調子は?」

「何もすることがなくてヒマでヒマで…」

「まぁ、仕方がないな」

飲食店は助成金が得られても、ご存知の様に種類販売事業者への支援は微々たるものだ。ただ、どこか表情が曇っているのはそれだけではない様子だ。

 

「実は健康診断であまり思わしくない結果が出ちゃいまして…」

「ほう、それはどんな?」

「下血がみられるらしいんです」

「キレ痔じゃねぇの?」

「わかりませんが、それで検査をすることになりました」

 

そこで日を分けて胃と大腸の内視鏡検査を受けることになったそうだ。人間50も過ぎれば身体のそこかしこに体調の変化が起きるというものだ。この際だから徹底的に検査してもらいなさい、慰めにもならないが形だけでも慰めてその場を後にした。

 

先に行われた胃カメラの検査では、幸いにして異常は見つからなかったようだが、問題は大腸内視鏡の方だ。なにせ血便と認められるとならば普通の状況でないことは確かだろう。

 

「でもな、俺自身『潰瘍性大腸炎』で経験があるからわかるけど、大腸からの出血って鮮血だからさ。素人目に見ても『あ、血』ってわかるけど、そんなんじゃなかったんだろ?」

「そこまでは気が付きませんでした」

という話だったので、然程気に病むものでもないとは思っていたのだが…。

 

この水曜日、つまり一昨日に検査は行われた。気にはなっていたので一応、LINEを送って容態をうかがってみる。

 

「大きめのポリープ(12mm)がありその場で切除しました。悶絶級の痛みでした」

と返ってきた。また、

「100人に1人か2人の長い腸だったそうで、カメラを入れるのが大変だった」

と医者に言われたらしい。

まぁ、いずれにしても大したことはなく本人にとっても家族にとっても良い結果だったといえるだろう。

 

「初めては誰でも痛いもんなんだよ♡」

と返し話を〆ておいた。

 

ただ配達となればどうしても力仕事なので検査の翌日は辛かろう。ということで、彼の大学の後輩でもある酒蔵の社長が泣かせる助っ人に登場。手となり足となりその短い手足をフルに稼働していたところ、偶然にも配達の時刻が被り遭遇したので取り敢えずネタにしてやろうと写真におさめておいた。マスク姿なので遺影には向かないが、今は合成技術も進歩しているので何かあったときは相談してくれと賀来千香子似の嫁さんに伝えておきなさい。

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