氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

身を呈して客を引く。これぞ、ザ・プロフェッショナル

「お父さんのところって子連れ客は来る?」

と次女が訊ねる。

 

「なんで?」

「いや、お酒飲むところだからあまり子どもは行っちゃいけないのかな?って思って」

「別に問題はないけど、店によっては来づらいところもあるだろうな」

 

系列店でも敷居が高い店もあれば低い店もある。家族連れ、特に小さなお子様連れとなれば敷居の低い店の方が好まれる傾向にある様だ。それにそういった店の方が子ども向けのメニューがラインナップされていたりする。

 

「昨日も子連れ客が4組来たぞ」

「えー、そんなに?」

「まぁ、鉄板焼だからお好み焼きとか焼きそばとか子どもが好きそうなメニューがあるから安心して来られるんだろうな」

 

今現在、自分が板場に経っている店は1週間ばかりの休業を余儀なくされている。というのも系列他店舗の最高齢スタッフが白内障の手術を受けることになり、その代わりが出来るスタッフが自分の職場にいるスタッフしか存在しないが為、出向させているというわけだ。じゃ、そちらを休ませればいいじゃない?ところがどっこいホイサッサ、出向先の方が規模もデカけりゃ売上もデカい。となれば当然、これがベストな方策となる。

 

で、自分はといえばこの1週間は仕入れ以外やることがない。ならばと自らも系列店の鉄板焼店へ出向と相成った。そんな鉄板焼店での出来事だ。

 

「それがさ、2歳くらいの女の子を連れた夫婦が来てたんだけど、その子の顔が凄く小さいのよ」

「ふぅ~ん」

「で、帰り間際に『お顔がちっちゃくて可愛らしいですね。やはりご両親とも小顔だからお子さんも小顔になるんでしょうね』て言ったら凄く嬉しそうに謙遜してたもんだからさ」

「うん、うん」

「『うちの娘なんてこのくらいの時はこの倍くらい大きな顔をしていましたよ。中学生になって剣道部に入ったんですが、お面に顔が入らなくて倍サイズのお面を特注しましたから。だから、試合になると相手が竹刀を振り下ろしただけで簡単に当たって面を取られちゃうんですよ』って言ったら大笑いしてた」

「おいっ!テキトーなことぶっこいてんじゃねぇよ!」

「可哀想にな。恨むなら母親を恨め」

「自分だって顔でけえだろうが!」

 

というわけで休業中に出来ることはと自ら客引きパンダを買って出て、看板となりそのデカい顔を表通りに晒してみた。

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さて、「熟女ホイホイ」の効果や如何に。

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