誕生日だったのだった。
11月11日の「◯ッキー&プリッツの日」ほどは華やかではないものの、11月1日も数字だけならばそれなりに華やかだと思う。ただ新垣結衣の姿が見えないだけだ。あの時CMで踊っていたガッキーは本当に可愛かったな。今では人妻というプレミアムな付加価値がついて手の届かぬ存在となってしまったが、まだ10年先、20年先にはどうなるかわかったもんじゃない。だってそれが芸能界なんだもん。そうなる事に期待を寄せたいと思う。
さて、前置きが長くなったが、11月1日、すなわち「ワンワンワン」の「犬の日」は我が愛娘、次女あづ紀の14回目となる誕生日だった。
生意気にも14歳だ。然しながらまだ14歳だ。一刻も早く結婚して孫の顔を見せてもらいたいところだが、身長も160をゆうに超えながら未だ「赤飯の日」を迎えていない。このままどこまで大きくなるかが楽しみだ。見下されるのは嫌だけど。
当日の夜は当然のこと、自分は仕事で不在ゆえ、きっと残りの家族で一家団欒であったことだろう。ささやかながらバースデーケーキの用意は自分がさせて頂いた。というか、自分がやらねば誰もやらない可能性が高確率で高いので、そうはさせじと自分が率先してやることにしている。ケーキがあるか無いかだけで誕生日という一つの節目が本人にとって生活のメリハリにもなるだろう、と期待してのことだ。
いや、本当はあって当たり前だから本人から買っておいてくれと懇願、もとい命令されていたからだ。購買者不在のまま一欠片も残されることなく食い尽くされている惨状は、まるで蝗害、つまり根こそぎバッタの大群に食い尽くされた実りの秋の田んぼが如しだ。
ただ、遠く離れた職場がある川南からでも川北に向かいお祝いの意思は示せるというものだ。まぁ、たかが10kmの距離ですけど。
たまたま一人で来た常連客に、
「おい、今日が何の日か知ってるか?」
と訊ねたところ、恐れ多くも
「知らん」
と答える。
「オレの娘の誕生日だ。それくらい覚えとけ」
「知るか、そんなの」
「なんでもいい。一緒にお祝いをしようじゃないか」
「なんで知りもせん娘のために?」
「男のくせにつべこべ言うんじゃねぇよ」
という具合にハイボールで誕生日を祝う乾杯をした。当然、奴のおごりで。
「きっとお前の気持ちもうちの娘に届いただろうよ」
「だから顔も知らんっちゅーに」
年内のイベントはこれで全てが終了した。あとは穏やかに年の瀬を迎えるだけだ。