氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

こんなの注文した覚えがねぇよ!

仕事から帰宅するとポストの上口が開き配達物が頭を覗かせている。どうやらポスト内が飽和状態で収納しきれなくなっている様子だ。時刻は深夜12時を周り既に日付も変わってしまった。てゆーか、なんでこの時刻になっても郵便物が放置されてるの?

 

それは我が家で郵便ポストを確認するのが自分だけだからだ。郵便物の多くは下らないDMの類いや塾の案内云々が殆どだが、それでも中には行政からの郵便物があったりもするわけだ。結果、それらについては全て自分が把握しておかねばならなくなる。逆に管理を一元化した方が楽なことは楽だから、その件についてはまぁそれで良い。

 

ところで件の郵便物の中に少々厚みがある封筒が含まれており、その封筒の為に郵便ポストが飽和状態を強いられていたわけだ。家人は既に就寝しているので、取り敢えず自分の部屋へ持ち帰り宛名を確認する。どうやら自分に宛てられたものの様だ。

 

「なんだ?『シードコムス』?」

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該当の会社から何かを購入した記憶が全く無い。袋を外から弄るが、中身が何なのかがまるでわからない。こうなったら仕方がない。開けて確認するしか方法はなかろう。

 

中身には「DHAEPADPA」と書かれ「6種類の青魚成分にサーモンオイルを配合」と謳われていた。

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「なんだ、こりゃ?」

サプリメント好きを標榜する自分ではあるが、さすがに効能が読み取れないものを注文することはあり得ない。もうひとつ入っていた。「ブラックスレンダー」とある。此方には「チャーコールクレジングで溜めない生活」と書かれてあった。

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いよいよもってわからない。こんな物を購入した記憶が全くないぞ!

 

誰かの嫌がらせか?それとも送りつけ商法?

 

「ねぇ、私宛の郵便物来てない?あ、それそれ。それ私の。やっぱ、来とったんや。送り状番号を確認したら『配達済み』になっとるのに来てなかったから。先方に電話するところやったやん」

「『やったやん』って俺の名前になってんじゃん」

「仕方ないやん。やり方がわからんかったんやで」

「やり方がわからん?」

 

どこでどう、何をして注文したかは知らないが、「やり方がわからん」ってどういう意味?注文の仕方がわからないってこと。でも、ちゃんと注文したから届いているわけでしょ?で、何故にちゃんと注文が出来ているのに宛名が自分になっているわけ?

 

「なんか、俺が悪いみたいな言い方するけど、俺宛に来てたら俺が中身を確認するのは当たり前の話だろ。それに真夜中に俺がポストの中を確認するまで放置しとくんじゃねぇよ!」

 

ったく、理不尽極まりないっちゅーの。ところでちょっと調べてみたのだが、具体的にどんな効能があるのか、身体のどこに効くだとかの情報が曖昧過ぎてまるでわからなかった。結局、サプリメントの最大効果であるプラシーボが働くのだろう。自分に投資するのも悪い事ではないが、連日の睡眠不足で死にそうになっている旦那の健康状態にも気遣いを見せたらどうなんだ。

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