氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「冷しぶっかけきしめん」に冷遇された話

朝っぱらから派手なエグゾーストノートを撒き散らし黄色のスイフトスポーツが自宅の車庫から出ていった。土曜日は仕事が休みの筈なのにいったい何処へ行くつもりだろう。まぁいい。何処へ行こうがまるで興味をそそられることはない。それに冷蔵庫の管理人不在となれば好き勝手に冷蔵庫の中身を閲覧出来る。朝食をと台所へ向かうと何やら場が静まり返っている。いつもならば賑わしくYou TubeやTik Tokの音声が聞こえて来ても良さそうなものだが、その気配すら感じ取れなかった。つまり居ない。娘たちの母親のみならず、姉妹もまた忽然と姿を消してしまった。

 

そんなこともあるだろう。

 

お次は坊主の番だ。目覚ましのアラームが延々となり続けているが、一向に起きてくる気配がない。いつもの事だから放っておいた。午前10時を過ぎた辺りだったろうか?急にバタバタと音を立て出かけていった。前日のことだが、

「親父、健康診断って受けたことある?」

とわざわざ此方まで訊ねに来たがそれに関係があるのだろうか?

 

そして誰もいなくなった

 

自分も午前中に出かけようかと思っていたが、誰もいないとなれば出かけるのが勿体なくなる。では有意義に過ごそうではないか。とはいえ遊んでばかりもいられない。懸案だったグランドメニューのリニューアルにそろそろ着手せねばならない。ギリギリにならないと行動に移せないのは高校時代もそうだったが試験勉強に似ている。

 

こう見えてIllustratorPhotoshopは専門職とまではいかないが得意な方だ。誰もいないとなれば集中出来る。ほぼ完成がみられたところでそろそろ昼食の時刻となった。権利を行使しようと台所へ行き冷蔵庫を開ける。目の前にFamilyMartの「大盛り冷しぶっかけきしめん」が置いてあった。これは食べてしまっても良いのだろうか?うん、いいね。多分、いい。叱られたら後で買って返せばいいだけだ。

 

ただ、コンビニの冷し麺ってあまり好きじゃないんだよね。スープを掛けてほぐしてから食べるその行程が苦手なんだよ。つまり上手くほぐせない。それに「きしめん」は温かいに限るという先入観がある。なにをしてそうなったのかはわからない。ただ冷たい「きしめん」を食べたことがないからかも知れない。

 

そこでだ、器はそのままにして麺の上にだし汁をぶっかけるまでは一緒だが、その後、電子レンジでチンしてみたらどうなるだろう?と考え思い立ち行動につなげてみた。

 

結果は悲惨なものだった。きっと耐熱容器じゃなかったんだよね。器がクシャッとひしゃげ蓋は「きしめん」にはりついて、まるで圧縮袋の中で真空状態にある布団の様に無様な姿に変わり果ててしまった。

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オマケにだし汁がレンジの中に溢れかえり器の中にはもう殆ど残ってはいなかった。

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あわてて丼を用意し移し替えてはみたものの、その姿はただの茶色くなった麺。

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「大盛り冷しぶっかけきしめん」がタイトル変わり「温さが決めての汁なしきしめん」になってしまった。仕方がないのでそのまま食べてみたが、驚くことに麺がだし汁を吸収し薄味嗜好にとりちょうど良い塩梅で美味しく頂くことが出来た。皆さんも騙されたと思って無理やりにでもやってみて欲しい。いや、やってみろ。

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