氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

愛すべき「アホ」

長女が通う高校も、先週まではリモートだったが今週から通学へと切り替わった。特別支援校なので元々クラスは少人数制だ。密になることはあり得ないが万が一ということもある。自分で症状を伝えにくい子も中にはいるので先生もナーバスにならざるを得ないだろう。

 

というわけで今週からまた以前の様に学校まで同伴通学をすることになった。通学途中に草野球チームのメンバーが経営する会社がある。表で顔を合わすことがあると必ずといって良いほど彼の夢物語を聞かされる。この会社を取り囲む当たり一面に様々な店や施設を立ち上げひとつの街にしたい、と概ねこの様なことだ。行く末は町名を自分の名字にしてしまうという悪行にも近い密かな企みをも持っているという。

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「で、取り敢えず『駄菓子屋』を作るでね」

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、という中国の諺がある。つまり子どもをダシにすれば親をもコントロール出来るという寸法だろう。考えが顔同様にいやらしい。ついでに言うと彼は恐ろしいまでのナルシストで、自らをモデルにしたカレンダーや、雑誌「レオン」の表紙を真似たポスターなども自費で制作し、それを社内に貼付したりお客に配ったりしている。ちょっと頭がおかしい。

 

ただ有言実行力は抜群にある。本当に駄菓子屋を作ってしまった。あ~あ。

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で、娘たちの学校が終わるのを待ちさっそく行ってきた。店内に入る。マジで駄菓子屋だ。

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そりゃ、駄菓子屋を作るっていっている時点で駄菓子屋はわかるのだが、実際は期待以上に駄菓子屋だった。アイスクリームまで売っている。

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子ども達がおやつをを買う場所が今やコンビニやドラッグストア、スーパーが主流になる中、身近にお菓子の専門店が出来たということで噂が噂になり瞬く間に近隣の子ども達のたまり場になったそうだ。ほら、子どもって「おかしの里もりや」とかって大好きだもんね。子どもに限らず大人にしてもノスタルジアに心を突き動かされるものがある。

 

存分に買い物を済ませると、

「かき氷もやっとるで食べてって」

と来た。

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今週いっぱいで打ち切りとなってしまうが、来場客には無料でふるまっているのだと。今夏だけでもざっと6,000杯の数が子ども達のお腹に収まったらしい。この為だけにわざわざ岐阜市で一番人気を誇るかき氷の名店と同じマシンを購入したとのこと。ホント、馬鹿だ。

 

 

「あとね、Tシャツも配っとるでもらってってね」

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忘れてしまいそうだったが、やっと彼の本業らしきものが顔を見せる。捺染(なっせん)=Tシャツなどにプリントをする業務が彼の本業だ。日本各地のテーマパークに置いてある商品や誰もが知っているブランドTシャツのプリントなども請け負っている。長女の通う支援学校の生徒なども受け入れ就業体験なども実施している。社長はアホだが会社としては至極真面目だ。

 

というわけでかき氷もTシャツもちゃっかりと頂いてきた。

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「駄菓子屋は思いの外、売上があるんやけどね、こんな事しとったら結局赤字やね」

とうん百万にもなる赤字を自慢げに話していた。救いようのないアホだがアホと言われれば言われるほど褒め言葉と捉えているみたいだ。なので、あまり本人を目の前にしてもアホとは呼ばない方が本人の為かも知れない。図にのって今度は何を仕出かすかわからないからだ。

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