氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

パパと呼ばないで

「パパ、新しいバッグが見たいの。連れて行ってくれない?」

何か企んでいる時だけパパと呼びやがる。お前は愛人バンク所属か。

 

「見るだけだな」

「いやいや、ちょっとお待ち。見るだけで連れて行けとわざわざお願いするわけがないやん」

「どうせオレの財布をあてにしてんだろ」

「すんまへん」

「すんまへんじゃねぇ」

というわけで、今どきの女子中高生が好みとするショップが多く入っているというだけの理由で「イオンモール各務原(かかみがはら)」に付き合わされる羽目となった。

 

日曜日といえば、先ず駐車スペースを確保するのが非常に困難なイオンモールだが、やはり緊急事態宣言発令中とあってか思いの外、駐車場に空きが見られた。然しながらコメダやスタバに行列が出来るのはいつもの光景。フードコートに至ってはどこぞの音楽フェスさながらの様相を呈している。ただしさすがにアルコールはない。

 

女性との買い物にはある程度の覚悟が必要になる。この日も結局、5~6店舗を1周し、それで決まらぬと2周目の最終店舗で落ち着くこととなる。

 

この間も、色々とアドバイスは試みた。早く買い物を終わらせたいからだ。

「あのさ、いつもカジュアルな格好しかしないだろ?それなのにバッグだけシックてのはおかしいと思うぞ」

「じゃ、バッグに合わせる格好をするゎ」

いかん。このままでは洋服まで買わされる羽目になりそうだ。

 

「いや、そうじゃなくて、男目線で女の子を見たらそれでいいか悪いかってことよ」

「男目線ってお父さん、もうおっさんやん」

「おっさんだろうが何だろうが男だろうが。若い女の子でも普通に可愛いと感じるわ!」

目下のお気に入りは永野芽郁ちゃんだ。

 

「逆に男は女の人に髪を切ってもらうといいっていうだろ?」

「知らん」

「まぁ、聞け。女目線で髪を切るからその男の人のかっこいい所を引き出すことが出来るんだよ(知らんけど)」

「ふぅ~ん」

 

というわけで、最後の店舗「PINK-latt(ピンクラテ、略してピンラテ)」で見つけたカジュアルなバッグに決まった。黒と白を最後の最後まで悩んだが、結果、白に落ち着いた。

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レジへと向かう。

「ありがとうございます。お2つで宜しかったですか?」

「え?2つ?」

見ると長女が黒色の方のバッグを手に一緒に並んでいる。

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「欲しいの?」

「うん」

 

そりゃ、あかんなんて言えんでしょ。妹ばかりにいい思いをさせるわけにもいかない。ただ、この事で喜んでいたのは当の本人よりも妹の方だ。

「やったー!たまに交換して使おうね、ね」

「うん、いいよ」

う~ん、なんか怪しい。これはひょっとしてはめられたのかも…。

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