在庫切れ?その手にはのらねぇよ。
これはいったいどうしたら良いのだろう?表には「切り離し無効」と書いてあるし、裏には「切り取ってご利用下さい」と書いてある。何かの罠か?
先日、「なか卯」で『濃厚チーズの親子丼(並盛)』をクーポンを利用して買った際にもらった『竜田揚げ』の無料券だ。これを期間中に提出すれば1枚につき『竜田揚げ』が無料で2個もらえる。となれば使わない手はないだろう。
「切り離し無効」と「切り離してご利用下さい」と両の説明があるならば、よりリスクの低い「切り離し無効」を優先することにした。「切り離してなければ無効」とは何処にも書いてなかったからだ。
娘たちは彼女たちの母親の実家に盆休みにかこつけ泊まりに行っている。娘たちにしてみれば盆だろうがなんだろうが夏休み中だから関係ない。ジジババにしても死ぬまで未来永、休みだ。
坊主は小中高の時の同級生と川へ遊びに行ってしまった。その母親は山へ柴刈りと、つまり自宅に残されたのは自分ひとりのみとなった。自分の為だけに昼食を作るのも面倒くさい。ならば再びクーポンを使い「なか卯」で『濃厚チーズの親子丼(並盛)』をテイクアウトしようと考えたわけだ。590円が290円になり、尚且つ『竜田揚げ』までもが無料で付いてくるとなれば利用しない手はないだろう。
「なか卯」に着くもドライブスルーには先客がおり、仕方なくその後ろに並ぶ。ドライブスルーだから外に出る必要がない。自宅からまんまのステテコ姿だ。
「『竜田揚げ』は今から揚げますのでお時間をちょうだいします。出来上がりましたらお持ちいたしますので前に出てお待ち下さい」
と先客に向けての声が聞こえてきた。
そうか。まぁ、無料だしな。待たされても仕方がないだろう。先客が前に車を進めたので、自分もまた発進し窓口に車を寄せる。そして「これお願いします」とクーポン画面に表示されたQRコードを提示した。
「お客様、申し訳ございません。『濃厚チーズ』が在庫切れとなってしまいまして、この商品を提供できません」
え?まだ、午前11時だよ。
「売り切れなの?」
「いえ、『濃厚チーズ』が在庫切れなんです」
この店だけのことなのか、若しくは全国の「なか卯」で在庫切れなのかは知らないが、実に由々しきことではないか。
「じゃ、『濃厚チーズ』は要らないからただの「親子丼」ちょうだい」
「いえ、それは商品が違いますのでクーポンではご提供出来ません」
ちっ、融通がきかねぇでやんの。
正規の料金を払って他の商品を注文し『竜田揚げ』を2個ゲットするのも選択の内だったが、この在庫切れという言い訳がどこか作為的なものに感じられてしまった。クーポンの利用客が予想に反して多すぎて売上そのものに響いたとか?
「じゃ、いいです」と言い残しこの場は諦めた。ここで他の商品を選んでしまったらその時点で負けを認めてしまうことになる。いつか他店で真相を究明すべくリベンジしてやろう。とはいえこの窮状を切り抜けねば。何かしら腹に収めないと夜仕事に支障をきたす。
「ま、いいや、ここで」
と入ったのは以前にも何度か利用したバングラデシュ人によるインドカレー屋だ。さすがに290円というわけにはいかなかったが、これだけ付いてワンコインならばお値打ちな方だろうと思う。
というか腹パン。