バザールでゴザール
連れて行った場所が悪かった。天井から所々に吊るされた「カラフルバーゲン」と書かれた吊り下げ広告に目を奪われた次女が
「お父さん、バーゲンだって」
と自分に語りかける。
聞こえないふりをして無視していると、
「おいっ!聞こえねぇのかよ。バーゲンって言ってるだろ!」
と怒り口調でそう言うと、力任せに耳を引っ張られた。
「いてててて!痛ぇって」
「だからバーゲンってどういう意味?」
あぁ、そっちか。ほっ(安堵)良かったおバカさんで。とはいえ自分も知らない。そもそも何語なんだ?
「中学の時にバーゲンってニックネームの同級生がいたけどな。そいつの名前じゃね?」
「なわけあるかい!」
「じゃ、お前はどう思う?」
「う~ん、わからんけど『安売り』ってことは知っとる」
そんだけ知っとりゃ十分やんけ!いかん、いかんぞ。こりゃ罠にハマるパターンだ。
「あ、ちょっとここ見たい」
そう言いながら場を離れると勝手にスタスタと「スポーツゼビオ」に入っていってしまった。
「アディダス、3割引だって」
若者の間ではファッションとしてスポーツアイテムが流行しているらしい。そう言われてみれば駅前で客引きをやっている与太者どもにもスリムフィットなスポーツウェアを身に着けている奴が多くいた。よったたかってスポーツウェアを愚弄しやがって。反社の片棒をかつぐヒマがあるのならばてめえらもハァハァ言いながら走りやがれってんだ!あ、ずびばぜん。取り乱しました。
てなわけで、案の定「アディダス」のショートパンツにTシャツを買わされた。
「あ、UNIQLOあるよ」
「お、おいっ!」
引き止める間もなくこれまたとっとと行ってしまった。
「Tシャツ900円だって。安いねー」
高かろうが安かろうが金を出すのはこっちなんだから。結局、ここでもTシャツを買わされたが、次女のものばかりでは長女が可哀想なので長女にはキュロットスカートを買ってあげた。
ほんと、お父さん頑張るよね。というわけで、頑張ったお父さんにもブルーノートTシャツを買ってあげる。
UNIQLOのプリントTシャツで初めて欲しいと衝動的に思ったのだが、同じソニー・クラークならばクール・ストラッティンのアルバム柄の方が良かったかな。知っている人だけに伝われば良いという自慰的なネタでした。
同じ建物内にある「スタアバックス」に寄ろうと思ったらアホほど大行列が出来ていたので当然、軽くスルー。帰宅途中にあった「スガキヤ」で一服決め込む。
久しぶりにお目にかかれた「抹茶あんみつ」に癒やされまくったのだった。