氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

持つべきものは業者様

「しまった、アレを買い忘れたt」

 

面倒だから「アレ」で片付けてしまったが、明確に言うと「糸削り」だ。あとはググれ。これまた面倒だが買いに行かねばならない。とはいえ、専門的な食材であるからにしてそんじょそこらのスーパーで売られている様なものではない。となればアレだ。いわゆる飲食店に特化したプロショップに行くことになる。

 

幸いにして店から400m先に「業務用食品スーパーアミカ」がある。仕方がない。トボトボと歩いていくか。がしかし、真夏の陽光がデリケートな場所に容赦なく紫外線を叩きつける。オマケにアホほど暑い。気温は既に34℃を超えており例え400mの距離とはいえ汗だくは必至だ。

 

それでも仕方がない。「エイッ!」と意気込んで外に飛び出した。表通りに出ると取引業者の車が違法駐車をしていた。こっそり警察に通報してやろうかと思ったら、残念ながら運転席に担当者が座っていた。ちっ!おもしろくねぇの。

 

コンコンと窓を叩き

「こんなところで油を売ってんじゃねぇぞ」

と一言注意しようと思ったところで閃いた。

 

「よぉ。今、ヒマ?ヒマだよな?ヒマにしか見えねぇし。ちょっとアミカまで乗せていってくれないか?」

ダメ元どころかダメと言わせない高圧的な口調でそう平身低頭お願いすると、二つ返事で

「いいですよ」

と返してきた。さすが商売人の家系だ。彼の実家は岐阜の街中でクリーニング屋を営んでおり、自分もたまに使わせてもらっている。お父さんにお母さん、そして実家を継いだ彼の兄も含め全てが人当たり良く皆、彼と同じ顔をしている。まるで世代間をまたいだ「おそ松くん」家族だ。

 

てなわけで乗せていってもらうことになったのだが、何を思ったか荷台の整理を始めだした。

「ちょっと散らかってるから待っててくださいね」

 

そして空きスペースを作り

「どうぞ」

と案内された。オ、オレに荷台に座っていけというのか?!い、言っておくがオレは客だぞ。その客のオレに向かって荷台に座っていけと、お前はそう言うのか!

f:id:Croquis009:20210724114349j:plain

 

「ありがとう」

素直にお礼を言える自分は誰よりも素敵で素晴らしくかっこいい。でもこれって道交法に抵触するのではなかろうか?

 

「はい、着きましたよ。ここでいいですか?」

「あぁ、ありがとう。助かったよ。じゃ、買い物が終わったら電話するからお迎えもよろしく」

「えー。帰りは歩いて帰ってくださいよ」

「きさま、違法に白タクを操業しているって訴えるぞ」

f:id:Croquis009:20210724114418j:plain

 

仕方がないので帰りは歩いて帰ったが、湿度が低かったからが思いの外、気温の数値ほど暑さを感じることはなかったので今回だけは業者名を伏せておいてやる。有り難く思え。

にほんブログ村 オヤジ日記ブログ いきいきオヤジへ
にほんブログ村