氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「負」があってこそ「正」が裏付けられるという、そんな難しい話では全くない

正直、ウナギを食べに羽島市くんだりまで行ったわけではない。主目的はまったく違うところにあった。謂わばウナギはついでのことで、近場に激安大衆食堂でもあれば迷わずそちらを選んだことだろう。ならば主目的はなんぞや?

 

そう、この時季限定、言い方を変えればこの時季にしか見られない風景を娘たちにも拝ませてあげたかったのだ。自身にとっても初めての体験となる。

 

「蓮の花」だ。羽島は湿地が多いことから蓮根の生産が盛んに行われている。他にどれほどの市町村で作られているのかは知らないが、県下では1番の生産量を誇るとか。図に乗って「れんこんカツ丼」なるものを名物にしようなどと目論んだ料理店もある様だが、残念ながらその名は全国区に及んでいない。とはいえ美味しそうなのでいつか絶対に食べに行く予定は今の所未定。

 

大賀ハス園」という。てっきり「大賀(おおが)」という地名から取ったものとばかり思っていたら知識不足の勘違い。ここは桑原町前ので大賀の欠片もない。なんでも約2000年を遡る縄文時代の蓮の種が千葉県で見つかり、植物学者であらせられる大賀さんの名前がその蓮に付けられ「大賀ハス」と呼ばれる様になったとか。かなり大雑把に端折ったが、つまりはそういう経緯だ。

 

しかし、泥水から出でし茎の先にこれほどの大輪、それも美しい花を咲かせ尚且つ根っこまで美味いという植物が他にあるだろうか。

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まぁ、知らないだけであるとは思うのだが、それはともかくこの幻想的な風景にしばし見とれていたのは自分だけだった。わざわざ見せに連れて行ってあげたにも関わらず、娘たちはといえば足元のぬかるみにブーブーいうだけで、蓮の花よりも同じ池で釣りをしていた中国人家族に興味津々。

 

「ねぇねぇ、釣りやっとるよ」

「ほんとだな。ザリガニ釣りじゃない?」

「魚じゃないんだ?」

「ちょっと見てくる」

自分もまた興味深かったので見に行くと、案の定、バケツいっぱいにザリガニが入っていた。

 

「どうするつもりなんやろ?」

「食べるんだろ」

「食べられるの?」

「食べられるよ。オレは食べたことはないけれど昭和天皇は食べたことがあるらしいぞ」

あまり適当なことをいうと誤解を生みそうなので「天皇の料理番」というドラマの受け売りと説明しておいた。

 

時間は午後3時。そろそろ甘いものを渇望する時刻だ。狙ったわけではないのだが、幸いにして近くには甘味処がある。「陽湖星」だ。

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「ひこぼし」と読む。これでもか、という程の糖分を打ち込むとのんびり帰宅の途につく。

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「どうだった、今日は。満足したか?」

「うん、満足。部活動が延長したことを除いたらね」

「部活動をきちんとこなして来たからこそ、より充実出来たとも考えられるんじゃないか?」

「あぁ、確かにそうかもね」

これこそ美輪明宏が唱えるところの「正負の法則」というものだろう。知らんけど。



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