クズリとカピバラ
巨大なカピバラに追いかけられた子猫がついには追いつかれ、あわや噛み殺されるかと思いきやカピバラには歯がない。噛めども噛めども子猫はミャーミャー鳴くのみで一向に飲み込まれる気配のないまま咀嚼は続けられる。
これは絶好のシャッターチャンスだ。慌ててスマホを手に取り外へ飛び出すと、何故かスマホは自分のものでなく嫁のものだった。ロックが掛かっており暗証番号がわからない。試しに嫁の生年月日を入れてみたら簡単にロックが解除された。実に単純な彼女らしい。しかしながらその頃には既にカピバラは目の前から姿を消していた。
そこへ子供たちからなる集団が登場する。一様にサファリジャケットを着てその出で立ちはまるでハンターだ。先導するはあの川口浩だった。
「いいか。カピバラを見つけても迂闊に近づいてはならん。奴は凶暴だ。先ずはオレに教えろ」
と彼が子供たちに教示をたれている。すると、そこに先程の子猫の鳴き声が聞こえてきた。子猫の運命や如何に!ところがそこに居たのは巨大なクズリだ。先程の子猫がなんとクズリに変貌していた。カピバラは一体どこに行ってしまったのだろう?
…といった総天然色の夢を見た。自分は夢に見たことがほぼ現実になる。どうやら今回もきっとそうなるのだろう。川口浩ってまだ生きてたっけ?カピバラってどこまで大きくなるんだろ?クズリって見たことがないんだけど、何故クズリってわかったの?
知らんがな。全てはイメージです。
仕事の合間をぬって酒販店と酒蔵の各々の社長が陣中見舞いに来てくれた。今回のコロナ騒動では多大なる影響を被っているであろう当事者にも関わらず、こうして顔を見せてくれることは実に有り難いことだ。二人揃って来店したのは約6ヶ月以上前、つまり昨年の話になる。
そうか。夢見が悪かったのは久しぶりにこの二人の顔を並べて見てしまったからではなかろうか。誰が何をイメージしているのかはわからないが、きっとそうに違いない。