氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

まん防下に於ける市場の現状

いつもの様に裏山に登り下山すると距離にして約7km。あと3kmばかりロードワークに励むかと歩道を南に向かいラッタッターと走っていると、後ろから叫び声が聞こえる。耳にはBluetoothイヤホン、流れるはCBCラジオのDJつボイノリオのエロトークだ。ガンガン鳴り続ける音楽でもないので、2度めに呼ばれた時に自分の名前だと認識した。

 

振り返ると黒塗りの車。下りてきたのはサングラスに黒ネクタイ。上下黒のスーツを着こなしたは真っ赤な嘘。実際はよく見る顔、それもかつてはランニングバディだった魚介市場の仲買の跡継ぎ、3代目J Soul Brothersだった。嫁と子連れで食事に出かけるところだったらしい。

 

「前を走っている人、ひょっとしたらそうなんじゃない?なんて嫁と冗談で話をしていたら、本当にそうじゃないですか(笑)」

「ははは、そうか。よく見つけたな(人を笑いのネタにするんじゃねぇ)」

「いや、直ぐそこの蕎麦屋に行こうと思ってまして」

「そこ今日、休みだぞ」

「えっ?予め調べたら営業になってたんですが」

 

最近はしきりに聞く話だ。コロナが蔓延してからというものの、営業日や営業時間がネットの情報だけでは定まらない。行ってみたは良いものの、なんだやってねぇじゃねぇか、なんて事は自分にしても何度となくあった。いわば昼食難民を強いられるケースだ。

 

「どうだ最近。市場は」

「むちゃくちゃヒマですよ。ランチをやっている店か夜、予約を受けた店くらいですね、来るのは」

「厳しいな。また顔だすよ」

仲買の番頭さんからも「たまには顔を出して下さい」とつい先日、電話をもらったばかりだ。顔しか出せないが訪ねることにした。

 

なるほど。確かに客が少ない。見慣れた顔はランチタイムに集客を図れる店のオーナーばかりだ。あとは本来、居酒屋なのが急遽ランチ営業に転じた店主もちらほらと見受けられる。

 

「この間、県からなにか送られてきたので、見たら時短要請にも関わらず8時以降も営業している事に対する忠告だったんですよ。はぁ?何しゃべっとんのや!と思って県に電話したら、表で調査していたら8時を過ぎても電気が点いてましたから、なんて事をぬかしやがるもんだから、こんな下らない事で税金を使うんじゃなくて、そう思ったのならば直接見に来いよ!お客が帰ったら後片付けもしなあかんやろ?8時なったら直ぐに電気を消すなんてことが出来るわけないやないか!って言ったりましたよ」

 

そのランチ営業を始めた居酒屋店主のひとり。以前、一緒に働いていて独立を果たした元の部下がマシンガンが如くまくしたてる様に息継ぎもせずそう話した。

 

「ほんとやな。ドアを開けて中を覗けば済むことなのにな」

 

調査する方には調査する方の理屈があるのだろうが、「命令」ではない「要請」という二文字が与えた奥ゆかしさなのだろうか?店名公表しますよ、とは聞いてはいるが、いつ何処で公表されているのだろう?もう、第4波目で宣言も延長に入るというのに。

 

魚屋だけではアレなんで、肉屋にも顔を出してきた。肉屋にしても状況は同じだ。わずかでも手助けをと思い若干ではあるがお手伝いをさせてもらった。肉屋はPayPayが使えるから助かる。

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