氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

初老のたわごと

「明日は帰らないから」と予めLINEで連絡を入れておいた。既読になっていたからきっと読んでくれたことだろう。それが昨晩のことだ。日が変わり、まだ日の目を見る前に自宅を出る。そして市場へと向かう。仕入れを済ませた後は各店舗への配送業務に移る。ここまではいつもルーティンだ。

 

最初の店舗に着き、さて荷物を下ろそうかと助手席に置いてあるカバン、カバン?あれ?カバンがない。あ-っ!自宅に置いてきちゃったよ。これはヤバい。なぜならばそのカバンの中に全店舗の鍵が入っていたからだ。

 

実は配送の後、持病の定期検診のた掛かりつけ医に触接、向かうつもりでいた。しかしながらこのままでは配送を済ませられないどころか病院に行くことすら出来ないではないか、歯科、泌尿器科。しかたあるまい。こうなりゃ自宅にとって返し鍵を取りに行くしかない。ただ「明日は帰らないから」と言ってしまった手前なんとなく気まずい。

 

「ただいま~、ははははは、鍵を忘れて出てきちゃったよ!で、取りに戻ってきた。もう、ホント馬鹿だ、オレ」

 

「えー、そうなの?なにやっとんの!ははは、でもドジなあなたらしいわ(笑)」

テヘペロ~、だな。はははは」

なんて理想な会話など望むべくもない。

 

案の定、返ってきたのは「ふ~ん」の三文字だった。鍵を手にするとまだ通学前の娘たちに「行ってきます」と告げ再び配達へと出かけた。

 

診察は予約制なのでいうもながら待たされることもなくスムーズに終了する。その後は隣にある薬局で6週間分の薬を受け取ることになる。そこまでは良い。いつも思うのは薬が出来上がり支払いを済ませる時だ。薬剤師が個人的に良かれと思ってそうしているのか、単に会社方針なのかは知らないが、いちいち「お変わりありませんか?」とか「お薬の飲み残しはありませんか?」とか「お薬が合わなかったら仰って下さいね」と言ってくることがもの凄く煩わしいのだ。その都度、返事をせねばならないのが面倒くさくて堪らない。

 

自分を知る者ならば話もわかるが、あなた私のこと知らないでしょ?ただ処方された薬だけで「あぁ、この人はこういう病なんだ」と判断しているに過ぎないあなた達に、下手をしたらあなた達が生まれる前からこの病と付き合っている自分があなたが声を掛けていいことなど何一つとして無いでしょ。あ、どーもすみません。ちょっと老人域に達した近視眼的な見方でございました。取り敢えず、「ありがとう」と言い残し薬局を出る。

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病院に来たついでだ。近くにあるMcDonald'sに寄ると新発売の「マックシェイク® ミルキーのままの味」を買ってみた。

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ネーミングがわからなかったのがドライブスルーのマイクに向かって「ペコちゃんのシェイクありますか?」でちゃんと通じた。

 

口をすぼめて「ミルキーのままの味」を吸引しながら思った。「ままの味」は吸って初めて「ままの味」なのではないかと。本来のミルキーが「ままの味」だとするには、舐めて噛んでといった行為にはあまりにも大人の世界を彷彿とさせられる気持ちの良い世界だ。言ってみればそれはまるで「赤ちゃんプレイ」さながらではないか。つまりは「吸う」という行為のみが「ままの味」を正当化するに相応しい行為だと。

 

マックシェイクが若い頃と比べより多くの吸引力が必要に感じられただけに、ここ最近、吸ってないなと振り返る58歳になったばかりの泣ける春だった。

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