タイヤ交換エレジー
庭先からぶつぶつと話し声が聞こえてくる。なんのこたぁない。嫁の独り言だ。話かけられていると勘違いし返事をするも、それが独り言だったりすることがある。故にややこしいので独り言は1人の時に言えと言い渡してあるのだが、きっと言うことを聞いてそうしているのだろう。
と思いきや、
「お父さん、私のタイヤどこ?」
と名指しで呼ばれた。オレはお前の様な娘を持った覚えはない。それはともかく、独り言だと思っていたら今回は独り言では無かった様だ。本当にややこしい。
これがつい先日のこと。
どうやらスタッドレスからノーマルタイヤへの交換を自分で試みようとしているらしい。
「えぇ~と、どこだったっけ?」
沈思黙考の末、とんでもないことに気がついてしまった。昨年、中古で買った乗用車だが、当初から履いていたのがスタッドレスタイヤだった。冬場だったということもあり、ちょうどいいやとその場は思ったものの、その後のことは全く考えていなかった。
「ないよ。買わなきゃない」
ということで得意のヤフオクで中古の純正ホイールを購入。タイヤ付きで4本5,000円で出品されていた物を競り落とした。競り落とし価格は5,000円。要するに競合相手が1人もいなかったわけだ。ラッキー!
そして昨日のこと。
嫁がひとりでタイヤを外そうと悪戦苦闘している。見ていたわけではないのだが、恐らくそういうことだったのだろう。
「お父さん、タイヤが外れん」
結局、そうなるだろうと想像がついていた。いつもならば走りに出ている時間だったが、そうなることを想定して自宅で待機していて正解だった。
聞けばレンチがナットにハマらないとのこと。実際にやってみる。確かにハマらない。これではナットを緩めようがないじゃない。そこで、かつて坊主がレーシングカートをやっていた時期に活躍した工具セットを倉庫から久しぶりに引きずり出して試してみる。
すると何故かナットのサイズが21なのに比してレンチのサイズが19であることが判明した。そりゃハマるわけないやん。オマケに5本のナットの内のひとつが盗難防止用のロックナットになってるし。
誰がこんなちんけな車のホイールを盗むんやっちゅーの。
それらの全てを取り敢えず解決して、さていよいよ送られてきたタイヤ・ホイールを開梱すると、あーた…。どういうことこれは?
「タイヤにネジ刺さってるし。てか、ここにも」
1本のタイヤにネジ・釘合わせて2本、もう一本のタイヤにも釘を1本発見。
オマケに所々にヒビ割れが見受けられる。こりゃ交換したところで後々また大変な思いをするぞ、ということで昨日は交換を断念。どうやら、というか確実に新しいタイヤを購入せねばならなくなってしまった。
春なのに お別れですか 春なのに 涙がこぼれます 春なのに 春なのにため息また ひとつ
さよなら、諭吉さん…。