氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

男の顔には味がある。ショーン・コネリーを考えてみる。

晩年のショーン・コネリーには勇気を与えられた。彼の姿を見て「オレ、もうハゲでいいや」と思った男たちはきっと世界中にいたことだろう。というのも彼は昨今、スクリーンを賑わしているジェイソン・ステイサムドウェイン・ジョンソンなどとは違い、元は「毛」があったからだ。それに比べて後者の二名はスクリーンに登場した頃から「毛」がない。

 

ご存知の様にショーン・コネリーは元イギリス諜報部員「007」だ。あの甘いマスクで何人の女をたぶらかしたことか。その数たるや匹敵するとすればゴルゴ13くらいのものだろう。ただ後者は若干、力づくの趣きもあるが。実に、実に羨ましい話ではないか。

 

しか~し!彼の死に際して我に帰った野郎共もまた、沢山いたことだろう。そう、いい加減に気づけよ。顔が違うということを。色男はハゲになっても色男だという証明をしたに過ぎない。

 

男の顔には様々な味がある。彼を例にして例えるならば、若いころはアラン・ドロンに匹敵するほどの「甘い」マスクだった。そして年齢を重ね頭髪が抜け始めるころには、そこに「渋み」が加わる。そして尚更に「苦味」が走る様になるのだ。そしてオレは「塩っ辛い」。うるさい、ほっとけ。

 

アンチエイジングに興味があるならば「ごぼう茶」を飲めばいい。60にして見た目の若々しさを自慢している南雲某の様になりたければだ。ただ、自分はあの様なサイボーグにはなりたくない。年齢相応に老け、年齢相応の方にお相手して頂ければこれからの人生もバラ色というものじゃないか。特に後者は大事。

 

などと考えに耽りつつ、久しぶりに訪れた歯科医の診療後、待合室で「LEON」を読みながら会計が終わるのを待っていた。以前から予約を入れていたのだが、急な仕事で2回も予約を反故してしまい、3度目の正直でやっと伺うことが出来たのだ。

 

おや、取材も受けていないのに、こんなところにオレの写真が掲載されているじゃないか。困るな。ノーギャラでは仕事を受けないことにしているんだよ。

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会計後、担当をしてくれた女性の歯科衛生士が、今まで外したこともないマスクをおもむろに外すと此方に真顔を向け「すみません」と言う。今までマスクで気がつかなかったが、思いの外、綺麗な女性だった。「は、はい?」喉仏を震わせながら精一杯の声をしぼりだしそう答えたると、返ってきた言葉はこうだった。

 

「実は12月17日をもって閉院となります。だから、申し訳ありませんが、次回の予約は出来ません。閉院するまでに何処か痛いところがありましたら電話をして来院下さい」

「ま、マジか…」

 

コロナの影響下で歯科医が大変、苦戦しているとは噂に聞いていた。待たされることなく診療をしてもらえることに凄く重宝していたのだが、背景には患者がいないということもあったのだろう。意図せず歯科医難民となってしまった。

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