家庭料理を凌駕した「家庭」@家庭料理「福助」
以前は夜だけの営業だったのが、コロナ以降、昼のランチ営業を始めた店が随分と増えた。多くは皆の想像通り、業績不振を補う急場の手立てにほぼ間違いはないだろう。苦肉の策と言えなくもないが、利用者にとってみれば単価の高い居酒屋料理が割安で食べられる可能性もあるということだ。あくまでも可能性の話だし、それが確実に美味いとも限らない。
コロナ以前よりランチ営業をしていた食堂やレストランなどは当然、経験から蓄積されたランチノウハウや常連客を持っている。それをいわば横取りすることになるのだが、酒売ってなんぼの居酒屋が、それをやるには相当な精神力と忍耐力が必要となる。だって、夜と違って粗利が十分に見積もっても知れてるんだもん。
というわけで「苦肉の策」と表現したのだが、ここは果たしてどうだろう?場所は学校でいうなら小中学校の校区内にある。つまりは歩いて行こうと思えば歩いていける。勿論、走ってでも自転車でも行けてしまう。にも関わらず自分は車で向かった。
家庭料理「福助」だ。
比較的長い歴史があると記憶している。自分が今の場所に越してきたのは約35年前になるが、その頃からその名を耳にしていたかと思う。ただ店としてはノーマークだったから、うろ覚えを通り越して当てずっぽうかも知れない。そんなわけだから、訪ねたのは初めてのことだ。
家庭料理「福助」…。そこは家庭料理というショルダーネームに恥じぬ、というか家庭そのものだった。座ったテーブル席の先にはピアノが置いてある。そりゃ、ピアノくらいは置いてあったとしても問題ないだろう。たまには生演奏を聴かせるなど洒落た演出も店としては必要だ。ただ、解せぬ。
なぜにマッサージチェアが?
そして、自分が腰をかけた座席の横には「ワンダーコア」が置いてある。
これはおもてなしの一つと捉えるべきなのだろうか?お座敷にも茶箪笥などが置かれ、もし押入れがあったならば寝具などが収納されていそうな雰囲気だ。
わかった!この店が掲げるコンセプトは日常、それも「いらっしゃいませ」ではなく「お帰りなさい」なんだな!あ、でも入口ではしっかり「いらっしゃいませ」と言われたし。まぁいいや。
ランチメニューは3種類。いずれも650円で提供されている。
そこで、先ずはお手なみ拝見と「味噌カツランチ」をチョイスした。ほどなくして登場したのは、これまた想像以上でもそれ以下でもない、まさに家庭料理として相応しいフォルムとテイストで、期待に適う素晴らしい…、と迄は言い難いが、まぁつまりはそんな感じで価格を考えると十分に満足した。
デザートの乳酸菌飲料とこんにゃくゼリーが実に泣かせるじゃないか。
泣かへんけど。
「ごちそうさまでした」
必ずリピートすることを約束しよう。それが嘘だったとしても言わなきゃ誰にもバレないもんね。日曜日が休みなのがちょっと残念。娘達と一緒に来られたらもっと盛り上がったかと思う。