「ル・リアン」Won't you stay for me~♫って、それ「メリーアン」や。
」予てより訪ねてみようと思いながらも駐車場のあまりの狭さに躊躇していたパン屋があった。店名は「ル・リアン」。
君達の様に平たい顔の日本人には聞き慣れぬフランス語だろう。仕方がない。彫りの深いフランス人の自分から解説してやろう。災害大国、日本に於いて昨今、最も大事な言葉とされる「絆(きずな)」を意味する。他にも「縁」や「繋がり」といった意味がある。
店内に入ると、年配の女性がお一人で切り盛りしていた。ただ、切り盛りとはいえ店番をしているだけだ。パン屋にしては様子がおかしい。パン屋特有の香りが感じられなかったからだ。
「いらっしゃいませ。初めてですか?」
「はい、そうです」
台の上にいくつかのパンが袋に入れて並べられている。どれも見た目に本格的で美味しそうだ。
「いつからやってらっしゃるんですか?」
「もう、1年くらいになります」
「そうなんですね」
「とは言ってもここでパンを焼いているわけではないんです」
なるほど。ここで「香り問題」が解決した。
「違う場所に同じ名前の障害福祉事務所があって、そこで作っているんですよ」
「あ、だからか…」
パンの値付けがいやに安いのだ。いわゆる施設系のパン屋はどこもパンの価格が安く値付けされている。あまり根掘り葉掘り訊くのも不審がられてはと思い、わが娘の境遇を明かすと話の内容は世間話へと変わった。自閉症の人たちに安心で安定的な就労場所を提供するという理念で立ち上げた施設だということだ。パン工房ではイートインも出来るらしい。
「この白ぱん、おすすめですよ」
白いパンに抹茶クリームとあんこ♡がサンドされている。ひとつはあんこ系を購入する予定だったのでなんら躊躇なくチョイスする。それにラス1だった。いや、元からラス1だったのかも知れない。まぁいい。
「白ぱん」を含め、「レアチーズ」に「ハムたまご」、都合3つを購入。ついでにレジ横にあったクッキーを3種類頂いた。
合計740円。平均して120円ちょいだ。
福祉商品が安いのには様々な理由がある。ただそこは自分が与り知らぬことと一介の客として頂いたパンは実にグレートな美味さだった。近い内にリピートしよう。