地獄への「Go To トラベル」@日本一の落差215m・岐阜県八百津町の「バンジージャンプ」
「5、4、3、2、1、バンジー!!」
岐阜県は賀茂郡というところに、杉原千畝が出身したことと栗の量産地区であることと、道を歩けば松茸にお目にかかるということで有名な八百津という名の町がある。そこに橋から谷底まで、なんと215mという日本一の高さを誇る「新旅足橋(しんたびぞこはし)」という橋が掛けられている。
地元ローカルネタの宝庫。ミドラーさんから教えてもらいました。
215mの高さと聞くだけで足がすくむ思いだが、そこにあろうことがバンジージャンプの施設がこの8月に開業してしまった。
まさに死と隣り合わせの施設とも言えるのだが、この話は高所恐怖症であるにも関わらず、それを覆すが如く、この日本一の落差を誇るバンジージャンプに果敢に挑んだ漢の愛と勇気のタワーリングインフェルノなポセイドンアドベンチャーだ。
橋の手前に駐車場がある。取り敢えず、橋中央の施設にまで徒歩で行ってみる。ただ、見学するだけの客が何組か訪れていた。残念なことに橋の欄干上には鉄柵が張り巡らされ、頭が入らないことから上から下を覗き見ることは出来ない。皆、隙間から手を差し出し、スマホを落とさぬ様、必死になって眼下の撮影をしていた。
その光景を見ているだけで股間がスースーする。
当然、体験にはお金が掛かる。料金はなんと!一度のジャンプに36,000円だって。なんで怖い思いをしてまでそんな大金を払わなきゃいけないんだ?とはいえ、マラソンに出場する度に、辛い思いをしてお金を払う馬鹿らしさをいつも指摘される自分にはなんも言えん。でも安心して下さい。昨今のコロナ禍による情勢を鑑み、なんと!20,000円に大減額されている。おー、なんて良心的な価格なんだ。これならば挑戦しやすいよね?
あー、残念無念。財布の中には19,800円しか入ってなかった。たった200円でこの様な空前絶後な体験を断念せねばならないとは。でも、仕方ないよね。また今度、挑戦することにしよっと。
チャレンジは午前と午後、一度ずつ催されるらしい。近場で所用を足し、再び戻ったところで施設にスタッフらしき人影を発見。ひょっとしたらやるのか?やっちゃうのか?と期待しつつ、絶好のビューポイントへと向かう。
そこにはオバちゃん三人組が陣取っていた。
「午前は、はや三人飛んだでね」
「午後の部も三人おったよ」
と話していた。どうやらわざわざ見学に来ている地元のオバちゃん達の様だ。
「そうなんですね」
自分が相槌をうつと、
「ムササビみてゃーな赤けぇ服来て飛びんさるに見とってみ。ほら、来た来た!飛ぶよ」
そう、言うやいなや野太い悲鳴とともに人影が谷底へと落ちていった。
「あれ、大きい人やね、この人」
「男の人だよ」
「さっきは小さ見えたもん」
何やらやたらと詳しい。
「よく、見にいらっしゃるんですか?」
「ほうやね、よー来るよ」
そこで料金の話を振ってみると、
「高けぇけどね、毎日ひっきりなしに飛びに来るに」
だそうだ。
身を危険に晒すことの対価として20,000円は安いのか?当然、自分としては安いとは思うものの、安全を確保する方にこそ費やしたいと思う人はやめておいた方が無難だろう。それにつけてもあと200円、足りなかったことが残念でならない。