「新4人組」深夜の攻防大作戦!
時は午後2時。自宅前に自動車が数台集結したと思えば、中から男衆がぞろぞろと顔を出し、そして我が家の玄関前に集結した。
何ごと?
とすると、坊主が自室を飛び出し玄関へと向かう。何のこたぁない。全員が全員、高校時代の同級生で同窓生だ。単に遊びに来たのだろうとその時は思っていた。
自分はといえば、仕事の為に自宅を出る。コロナ禍ではあってもさすが連休最中とあって繁華街に人の出は往時を偲ばせる程に多かった。帰宅したのはあと30分で翌日を迎えるという時間だったが、まだ玄関前には車がひしめき合っており、坊主の部屋へ行くと野郎ばかりで何か話し合っている。
何してんだろ?
とはいえ、然程気に留めることもなく、自分は自分で自室にこもり寝酒をかっくらっていたところ、いつの間にか夢の住人となっていた。ふいに部屋の外から聞こえてくる話し声とゴトゴトと騒がしく何かを運ぶ物音に目が覚める。時計の針は午前1時30分。話し声も騒音も一向に止むことなく聞こえてくる。
どれ、様子を見に行くか。
と、部屋を出るが様子を見に行くまでもない。開けた瞬間、ほぼ目の前が作業場と化していた。
見覚えのある顔と見覚えのない顔がアクリルのPCケースを前に何やら作業を繰り広げている。見覚えのある顔は坊主が小学生の頃からの幼馴染だ。
「お~、S太じゃん。なんだ、お前も4連休?」
「はい」
「で、何をしとるんじゃ」
「あいつの部屋があまりにも汚いので大改造をしているんですよ(笑)」
部屋の中では坊主にもう一人、計2名でこちらはこちらで電気的な作業を繰り広げている。こんな真夜中にやるべきことなのかどうかはさておき、工業高校電子化の精鋭?が集まって何かを成し遂げようとしているのは何となくわかる。
「まぁ、がんばれ。じゃ、おやすみな」
騒音の理由に納得が出来ればその後は苦にもならない。すんなり夢の世界へと羽ばたき朝まで帰ってくることはなかった。
翌日、坊主の部屋を改めて覗くと、なんか凄いことになっていた。
「なんじゃこりゃ。めちゃくちゃカッコイイな」
「あ”ー」
返事は相変わらずだ。
「でも、これ一人で出来るもんでもないのか?」
今までも自力でPCの組立をやって来た坊主だけに、今回は人の力を借りねばならなかったことを疑問に思ったからだ。
「まぁ、ひとりでも出来ないことはなかったけれど、4人で12時間掛かる作業なんでね」
だそうだ。想像の範疇を超えていた。
「おまえ、まさかタダ働きさせたわけじゃないだろうな?飯くらいは奢ったのか?」
「いや、飯は奢ってないけれど、元のPCのパーツをやった。これでチャラ」
もっとも、逆に招集をかけられたら逆に赴くとも言っていた。相身互いだと。
でも、元のPCのパーツって簡単に言うけれど、それってオレから借金して買ったパーツじゃないのかな?まぁいい。しかし、貸した金は何が何でもきっちりと回収させてもらうので念の為。