『天然』でいいじゃないか。いや、むしろ『天然』がいい。
「お父さん、『天然』ってどゆこと?」
「藪からスティックにいったいなんだ?」
「ん?なにそれ?」
「いや、いい。聞き流せ。ところでなんで?」
「私、みんなから、『あづ紀ちゃんは天然やね』ってよく言われるんやて。」
「あ、そういうことね。」
なんとなくだが、その片鱗を自分も感じることがある。物の名称を含め語彙力に劣る部分があるからだ。故に友達の口から自分が知らない言葉が飛び出したりすると、返し言葉が自然とボケに転じてしまうのではないかと考える。
「『天然』っていうのはな、魚に例えるならば誰の力も借りずに育った魚のことで、逆に人の手を借りて育った魚のことを『養殖』と呼ぶんだよ。」
「ふぅ~ん」
「でな、『養殖』ってのは波が穏やかなところで人に餌をもらって大事に大事に育てられるから苦労ってのを知らないんだよ。」
「へぇ~」
「逆に『天然』ってのは鳴門海峡や豊後水道の真鯛やサバみたいに波の荒い所を自力で泳いで餌を探さないといけない分、身が引き締まって美味しくなるんだな。」
「なんか全然わからんけどそうなの?」
「そう。だから、市場でも『天然』の方が『養殖』よりも値段が高いんだよ。『養殖』みたいに数も多くないからね。」
「そうなんだー。」
「ということでだな、人から『天然』って言われるのは、褒め言葉なんだよ。今度、友達に『天然やね』って言われたら、『ありがとう』って言っときゃ」
「そうなんやね。わかった。ありがとう」
良かった、天然で。それにしても素直でいい子じゃないの。さすが自分の子だけはある。
ところで午前中は炎天下の中、リハビリランを楽しんだ。
いや、楽しんだというよりも、むしろ苦行か?それにランというにも程遠い。むしろウォーキングに毛が生えた様なものに等しいかと思う。もし、ウォーキングに毛が生えるとしたならばだ。
11km程度の道程だったが、全身から塩は噴きまくるは水分の渇望も半端ない。幸いにしてコース途中には激安自販機コーナーがある。激安だけに、どこにツッコミを入れれば良いかわからない物も置いてあったりする。
よって回避。無難に「力水」を100円で購入。
小銭を持参していて本当に良かったと思った。