『う』が付く三文字の食べ物は?
「『う』が付く三文字の食べ物は?」
「う〇〇」
「う〇〇」
二人して同じ答えかよ。言うと思ったけど。
「食えるもんなら食ってみろ!」
はい、古えの娘達との会話はここまでです。土用丑の日恒例のなぞなぞ問題でした。
さすがに中学生となった今では土用丑=「鰻(うなぎ)」ということは知っているだろう。早朝から近所の魚屋さんのシャッターが開いていたので理由を訊くと、朝っぱらから鰻の大量注文をこなしていたのだと。その話を聞き、昨日が土用丑の日と知った午前7時20分だった。
毎朝、市場で会う、自分と年齢が一緒の職人がいる。これが全く人見知りをせずオマケに大のおしゃべり好きなのだが、そういえば昨日は顔を見なかったと思い出す。奴はうなぎ屋だった。きっと同じように朝っぱらから忙殺されていたことだろう。炭で灼けていつも真っ赤な顔をしているが、次に会う時はいっそう赤みが増していることだろう。
然しながら江戸から現代に至るまで、未だに土用丑の日は「鰻」と印象つけた平野源内という人間も稀代のデマゴーグだなと感心させられる。
一応、ミジンコ程度だが、家族にも鰻を食べさせてあげたいという気持ちはある。そこで、夜勤までの一時帰宅の際にスーパーマーケット「バロー」に寄ってみた。
「う~な~ぎ~う~な~ぎ~、なぁ~に見て~跳ねる~♫ うなぎが跳ねるかーい!」
虚しいノリツッコミを口ずさみながら鮮魚売り場をぶらつくと、さすがに土用丑の日だけあって何時もの3~4倍はあろうかと思われる鰻の蒲焼がドドーンと並べられていた。価格は1尾1,980円(税別)とある。迷わずやめておいた。ミジンコ程度の思いやりで良かった。
手ぶらで帰るのもなんだから、「バロー」内に併設されたパン屋「北欧倶楽部」に立ち寄ると、「うなぎパン」があった。一個98円(税別)
「これでいいや」
と一個だけ購入し帰宅し、さっそく頂くことに。
そのままかぶりつくのも芸がないと、ぶつ切りにしてご飯の上に乗せてみる。
「はい、うな丼の出来上がり~」
などと冗談をかましてみたものの、周りに聞いてくれる人が誰もいないので虚しさが募るだけだ。
「ビンボーのバカ野郎~」
涙が一筋、頬を伝って流れ落ちた。