読めるものなら読んでみやがれ@「百々ヶ峰」初登頂物語
何度も言うが今一度言おう。
岐阜市で一番高い山は「百々ヶ峰(どどがみね)」だ。
なぜ「百々」と書いて「どど」と読ませるのかはわからない。が、かつて織田信長の家臣だった百々綱家がこの地に山城を築き居城していたからその名が付いたとされる。ただ元から岐阜にいたわけでなく、ルーツは近江国犬上県百々村ということなのでその地名をとり苗字にしたと推測される。
毎年新春に行われるトレイルランニングのレース舞台となる山なので、いつもならば練習がてらアホみたいに奇声を上げながら駆けずり回ったり転げ落ちたりする山なのだが、昨日は娘達と仲良くファミリー登山とお洒落かどうかはわからないが洒落込んでみた。
先ずは山に於いてのルールを教えておかねばならない。色々あるのだろうが、ほぼ素人の自分が教えられることと言えば
「雪山で寝てはいけない」ことと
「あいさつ」くらいだ。
「ちゃんと会う人会う人に挨拶をしろよ」
「なんで?」
「なんで、って気持ちいいだろ?」
「なんて言うの?」
「山の挨拶は特別でな、『こんちくわ』って言うのが普通なんだ」
「じゃ、お父さん、やってみてよ」
「いいよ」
前方から登山者が下りてくる。すれ違いざまに
「おはようございます!」
と言えば、同じく元気よく
「おはようございます!」
と返ってきた。
「おいっ!『こんちくわ』じゃねぇのかよ!」
「あぁ、それは午後から。午前中は普通に『おはようございます』でいいんだぞ。ほら、また来た。ちゃんと挨拶しろな」
「おはようございます!」
「あぁ、こんにちは」
「『こんにちは』って返ってきたじゃねぇかよ!」
ひょいと時計を見せて、
「ほら、もう11時過ぎたから『こんにちは』でいいんだよ」
「『こんちくわ』じゃねぇのかよ!」
「あのな、同じことばかり言ってるとくどい奴って思われるぞ」
「おいっ!」
てなやりとりをしながらも彼女たちにとっては初の山頂へ。
山頂では例によってお湯をわかし、
この日の為にかつて購入しておいた「日清焼そばU.F.O. 濃い濃い男梅焼そば」と「マルちゃん柿の種味焼きそば」を賞味したのだった。
おにぎりや弁当を用意して山に登るのも良いが、アウトドアスポーツの一貫として考えるならばこれこそ登山の醍醐味だろう。金華山を眼下に見下ろし食すお外ランチは格別だった。
因みに挨拶をする本当の理由は色々と言われてはいるが、ひとつに「リスクヘッジ」がある。挨拶をし、顔を覚えてもらう事が出来れば、万が一遭難した時に目撃情報を得ることが出来る。更に、これから向かう先に危険が待ち受けてないか等々、言葉のやりとりを挨拶から得ることも可能だ。たかが金華山、たかが百々ヶ峰と思わずいつか気の迷いでチャレンジするかも知れないエベレストに備え今のうちに挨拶の練習をしておくと良いだろう。
エベレストに「こんちくわ」は通じるだろうか?
最後に、ところどころにピンクテープによるマーキングが見られる。これは、トレイルランニングの大会に向けた道しるべとなる。何せ山のレースだ。たかが400mクラスの山であろうが、コースアウトは致命的になる。要するに命を落としかねない。特に岐阜の山々はチャート(とんがった岩々)が多いので、血だらけになりながらゴールするランナーも多くいる。命を守る為の山の整備を司る管理人、同じく多くのボランティアたちの思いが山にはギュッと詰められていることをご承知頂けたら幸いです。