氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

避けては通れぬ健康への道

この年齢になると『健康』の2文字が意識しないまでも脳裏をかすめる。ドラッグストアに寄ると目的とは別にサプリメントの棚の前に、それも無意識の内にいつの間にかいたりすることが最近よくある。

健康に留意しているといえば聞こえが良いが、何のことはない、普段の不摂生による心身の衰えを薬物やサプリメントで補おうと、ある意味気休めな行為に走っているだけだ

4文字熟語に『一病息災』とある。「病気もなく健康な人よりも、一つぐらい持病があるほうが健康に気を配り、かえって長生きするということ」といった意味だが、斯く言う自分も安倍ちゃんに同じく「潰瘍性大腸炎」という一つの持病がある。かといって全く気にするでなく好きな時に好きな量の酒をあおっている。きっと皆さんはご存知ないことであろう。

よくある話だが、本人よりもむしろ周りが心配をしてくれる。非常に有難いことだ。主治医も然り、職業であるからにして当たり前といえば当たり前だが
「ほどほどにしておいた方が良いですよ」
と血液検査の結果を眺めながら忠告してくれた。
「そろそろ内視鏡検査しましょう」
また今年もその時が来た。

潰瘍性大腸炎」であるからにして読んで字のごとく大腸の病である。よって内視鏡も口や鼻から入れるいわゆる胃カメラではなく、大腸内視鏡、一部横文字にすると大腸ファイバーという屈曲自在なファイバースコープを使用する。太さは胃カメラがおよそ5ミリ程度だとすればその倍の10ミリ程度はあろうか?

よく女性の出産は『鼻の穴から西瓜を出す様な痛さ』と例えられるが想像するだけで悶絶しそうになる。女性のそれとは比ぶべくもないが、基本入れられるよりも入れることの方が得意な男性にとっては超絶たる勇気が必要な事なのだ。何せ注射針より太い物を入れられる機会は滅多にない。ましてやアソコに入れるのである。

余談だがかつて鼻の穴に500円玉を入れることを特技としていた女性と知り合ったことがある。当時まだ自分が25~6歳の頃だったのでかれこれ30年前の話になるのだが、ひょっとしたら今頃西瓜くらいは容易に出し入れ出来る様になっているかも知れない。死ぬまでに1度は見てみたいものだ。

内視鏡検査ではもうひとつ辛いことがある。前日の食事制限は普段から少食なのでさほど苦でもない。しかしアルコールに関しては制限ではなく御法度なのである。アルコールにより血管が拡張しそれにより出血を促すリスクが伴いまともな検査が出来なくなるというのがその理由らしい。よって約1年ぶりの休肝日を余儀なくされた。おかげで目が冴えまくりその晩はまったくといってよい程寝られなかった。

それにも増して辛いのは約2リットルに及ぶ水溶された下剤を朝っぱらから飲まされることだ。ガーフィールドの様になった寝不足の目をこすりながら200mlずつ10回に分けて15分おきにただただ飲み干す。その作業が拷問を強いられるに等しいのだ。無味無臭ならば愚痴にも及ばないところなのだが当然のことながらそうではない。まるで腐ったスポーツドリンクを飲まされている様な味わいなのだ。下から出る前に上からスプラッシュしそうなところを気力で押さえ込み何とか2リットルを飲み干すことが出来た。

そしてその後は目眩く出産という快楽が幾度となく訪れることになる。残念ながら鼻から西瓜を出すほどの達成感と感動とは程遠く、その様なことは欠片も味わうことなど出来無い方の出産だ。

実際の検査は麻酔を注射され眠っている内に行われるので、たとえ太さが胃カメラの10倍あろうが気がつくことは無かったかも知れない。滞りなく検査は終了しあとは後日の結果を待つのみである。また皆さんとお会いできることが叶うようお祈り願いたい。

今のうちに呑めるだけ呑んどこ。

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内視鏡検査